私は、オーケストラサウンドが大好きです。

自分の作品で、なんとかオーケストラを使いたい!と思う動機は
私の音楽の表現方法として、オーケストラサウンドが一番適していると
思っているからです。

その多彩で、重厚で、華麗で、幾重にも折り重なった音の錦絵のような
キラキラ輝く音色に、心の底から感動出来るから。


幼少の頃から、ずっとオーケストラを追いかけて来た音楽人生でした。

コンサートも、レコードも、楽譜も、つねにオーケストラ。

周りの皆んながビートルズなどのポップスに夢中の頃に
自分一人だけ、クラシックのオケのコンサートに通っていたりしたから
あんまり、皆んなと音楽の話が合いませんでしたけど。



で、このようにずっとオーケストラを聴いて来た身としまして、
コンサートに行ったら全体を見るだけで、
その日のオーケストラの善し悪しを見分ける事が出来るようになりました。


海外のオケにはあまり感じないのですが、日本のオケにある時が多い問題とは?


『トラ』が多過ぎる事です。

『トラ』とは『エキストラ』の略で、正規のメンバーではないけど
その日だけ人数が足りないために、アルバイトで入ったメンバーの事。

主にストリングスが多い。
そして、学生が多い。


つまり、一目見ただけで善し悪しが分かると言うのは、
この『トラ』の多少で判断していると言う訳なのです。


ついこの頃に行ったコンサートのオケなど、見るからに『トラ』だらけ。

大勢いるストリングスの大半が、見るからに学生風。
無論、見た目だけですのでそうではないかもしれない、と思って聴いていたのですが
やはり、『トラ』でした。


この『トラ』の何がいけないのか?

まず、基本的に力量が足りなくて、練習が少なくて、
アンサンブルが合っていなくて、音量が小さい事です。

凄く上手い『トラ』はまれでして、よしんば上手くても急遽呼ばれたから
どうしても練習する間もなくて、そのオケの個性に合わせる暇もなく、
練習不足で自信がないせいか、思い切って演奏出来なくて、
結果、音量が小さくなります。

だから、ストリングス全体の色があまり良くなく、凄く音量が小さくなって
サウンドバランスが悪くなります。


オケの難しい所は、金管やホルン、パーカッションがどうしても
絶対音量が大きいので、トゥッティ(全員で演奏する事)の際には
ストリングスと木管が聴こえにくくなります。

しかし、良いオケは(トラの少ない)、そんな箇所でも十分の音量を
ストリングスに感じて、良いバランスの演奏を楽しむ事が出来るのですが、、、

演奏会の回数が多過ぎるのも一因ですけど、
この『トラシステム』を多用するオケの演奏会には、あまり行きたくない、
と、思っています。