デビューして30年強!


音楽業界と言う競走世界の中で、このように長きに亘って
お仕事を続けられて来たのは、本当に幸運な事です。

今まで幾多の才能ある人々が、出ては消えて行った事でしょう。

その中で、30年以上も生き抜いて来られたのは、皆様方のご支援の賜物であると
深く感謝をしております。



しかし、こんなにお仕事をしていると、当然の事ながら作品の数は増え、
過去の業績が積み重なって来ます。

それはそれで結構な事なのですが、
少し厄介なのは『過去の業績によってのみ評価される事が多くなった』事です。


つまり、田中公平の「ガオガイガーが良いね」「キングゲイナー燃える!」
「トップはガチだよね」とかです。

昔の作品を愛していただいているので、喜ばしい事なのですが
私も毎日、日々進化を続けているので、そのような評価だけされるのも、
「どうだかな~?」
と、思います。


現在、続いている『ワンピース』や『サクラ大戦』も、10年以上の年月が経ち
業績が積み上がって来過ぎると、
やはり、これも『今』より『過去』の評価が大きくなって来ます。

「あの歌謡ショウ良かったね」とか「ウイアー最高」とかです。


褒められ、愛され、これ以上の事はないはずなのですが、
何か満たされない感情があります。



それはきっと、作曲家田中公平の『今』の評価ではないから。

終わってしまった『過去』は、私の中では、それほど重要ではないから。


私は、今現在の私が書く曲が一番良い!と思っているし
ガチンコで、昨日今日出て来られた新人のアーティストと勝負したいから。



昔、あの有名なチャップリンが
「あなたの最高傑作作は何ですか?」
と、聞かれ時に、こう言ったそうです。


「Next one!」
と。

つねに次の作品が、自分の代表作。

最高にポジティブな考え方です。




つまり、アーティストにとって『今』が全てであり、新作が全てなのです。

『過去』で評価される事は仕方ない事かもしれませんが、
その過去以上の『今』の自分を目指すべきです。


私も今は『ゲキテイ』を褒められるより『次のレビュウの新作』で。
『ガオの劇伴』より『ぬらひょんの劇伴』で、評価されたい。

と言うより、次の新作で『今』の進化した田中公平を表現したい!
と、思っています。