今をさること30年ほど前、まだ駆け出しの作曲家だった私は、
仕事がまだ順調ではなく、一度仕事が終わったら、
その後スケジュールが真っ白!
なんて事を何度も経験しました。
自分の未来を信じているにしても、さすがに不安でしたね。
そんな時は、まず行動!と言う事で、少しでも以前に知り合いになった制作会社、レコード会社へ、
営業に出かけました。
いつも同じダッサ~い黒いかばんを持って。
今と違って会社の入館セキュリティは、それほど厳しくなく、
割りに自由に出入り出来ました。
オフィスに入るなり
〔作曲家、編曲家の御用はありませんか~〕
と、大きめの声でそこらへんの人に呼びかけます。
始めは〔なんだこいつ?〕と、相手にしてくれなかった人と、
少しづつ知り合いになってきました。
そうこうしてるうちに、オフィスに入るなり
〔お~丁度良い所に来たな。〕と、
仕事をくれる人が少しづつ増えて来ました。
〔公平ちゃん、来週のスケジュールどうなってる?〕
私は真っ白なスケジュール帳を相手に見えないように
気をつけながら、
〔来週なら比較的空いてますね〕
なんてね(笑)
我々の仕事は、いくら口で偉そうな事言っても、実際に仕事させてもらわないと、実力の発揮する場がありません。
だから、苦しい時に仕事をくれたディレクターの皆さんの事は、神様のように感じましたね。
そうやって営業の末に実になった仕事に
バイオマンやシャイダーの挿入歌のアレンジや、キン肉マンの各キャラソンなんかがあります。
そしてこれが、ドラゴンボールやトップなんかに繋がって行ったのですね。
つい最近の年末に、久しぶりに営業してみました。
ダッサ~いかばんは持たなかったし、オフィスにも押し掛けて行かなかったけど、
原点に帰った感じでした。
もっと汗かかなくちゃね。