私は皆さんが思っているほど、ピアノは上手くありません。
作曲家だからピアノの名手だろうと想像されますが、実際
そうでもありません。

少しは弾けますが、スタジオミュージシャンのレベルには
ほど遠いと思います。

いっつも、ピアノの上手い人に憧れています。
「あんなに弾けたらどんなに良いんだろう」と。

でも、これが落とし穴かもしれません。

なまじ、ピアノが上手かったら.....

#作曲家として、ピアノ第一につねに考えたかもしれない。
#すべての曲のピアノパートを自分で弾いて
 新しい感覚を取り入れる事など考えなかったかもしれない。
#そもそも作曲家にならずにピアニストになっていたかも
 しれない。

なまじ、ピアノが上手かったせいで、こんな事になるのも
考えられましたね。


たとえば野球で言えば、イチローほど傑出した才能なら、何の文句も
ないのですが、なまじ上手いのが一番悩ましいのです。

甲子園も出た。六大学でもプレーした。
プロになれるかなれないか、ギリギリの立場にいる。

もし、実力がそれほどでもなければ、プロにならずに
普通の人生を生きて行く事が出来るのに、
なまじ、実力があるゆえに、厳しい世界に飛び込みたくなる。


それで、あきらめ切れずに、失意の人生を送る事になる
かもしれない。

悲劇ですね。


私に置き換えれば、私も”なまじ”組でした。

少し、人より気の効いた曲を書くに過ぎない作曲家でした。

ピアニストになるにはへたくそで、指揮の素養もなく、
なまじ、作曲が出来たから、ここにいる程度の人間でした。

人に恵まれ、運に恵まれ、ここまで来れたのですが、
もう少しで、なまじ音楽なんか得意でなければ良かった、と
すねながら人生を送ったかもしれない、と思うと、
ぞっとします。

私の息子もピアノをやっているのですが、あまり上手くありません、

でも、親としては「ほっ」としています。

なまじ、上手いと音楽の道に進みたい、と思うから。

こんな大変な苦労は子供にはさせたくないですね。


でも、子供は親の思うようには行かないから、
どうなります事やら。