PROBE法の問題点
山崎力先生(東大大学院医学系研究科 クリニカル バイオインフォマティクス研究ユニット教授)のご講演を聴く機会があった。
慈恵ハートスタディ、京都ハートスタディは問題のある研究だということがよく分かった。
PROBE法
(Prospective,Randomized,Open,Blinded-Endopoint design)
試験デザインの1つで、
前向き(Prospective)
無作為(Randomized)
オープン(Open)
エンドポイントブラインド(Blinded-Endopoint)
オープン試験にソフトエンドポイントを入れると、結果をある程度操作できると思われるので、海外のPROBE法を用いた研究はハードエンドポイントだけでソフトエンドポイントを入れていないものが多い。 しかし、上記の研究はどちらもソフトエンドポイント(狭心症による入院など)を取り入れており、そこが大きな有意差発生の要因となってしまっている。ハードエンドポイントである心筋梗塞の発生にはほとんど差がない。
企業努力あっての医薬の進歩ではあるが、間違った方向に努力されても患者の利益にはならない。行き過ぎに待ったをかけるのは医師の役割のはず。
ちなみに、同じ企業のサポートによる研究でも、Value研究は極めて質が高く価値のある研究だった。
山崎先生によると、
1) 統計学的有意差=薬の力 × 企業努力
2) 大規模臨床試験=小規模効果試験
なるほど。
確かにSteno2研究(N Engl J Med 2003;348:383-93)などは、1群80人、計160人を対象とした研究だ。本当に良い治療は、NNTも少ないし大規模にしなくても有意差が出ている。