7月27日に衆院厚労委員会で、児玉龍彦教授(東大先端研教授、東大アイソトープ総合センター長)が行った意見陳述が、インターネットを介して広まっているようだ。動画がyou tubeで紹介され、書き起こし文までwiki経由で見られる。雑誌AERAでも紹介されていた。児玉先生は日本医学界を代表する科学者だが、東大消化器グループ(旧第三内科)に所属する臨床医でもある。
広島や長崎は原爆が落ちてから50年は草木も生えないだろうと言われていたが、そうでもなかっただろう、福島の原発も大丈夫だという楽観的な意見が無いではなかった。
しかし、児玉教授の試算では、今回原発から放出された放射性物質は、ウラン換算で広島型原爆の20個分であり、しかも原爆から放出された放射性物質は1年で1000分の1になるが原発からのものは10分の1にしかならないという。
風評被害を避けるのは大事なことだが、現状がどれくらいの状況になっているのかを正確に知り、対策を立てて実行する必要がある。現在の政府の対応は全く不十分なようだ。国民の被曝は確実に進行しており、しかもその程度と危険度が分からないままだ。児玉教授は具体的な提案をしている。政府/国会議員が迅速に科学者の意見を理解し対応することを望む。政治ごっこをしている場合ではない。
**************
報道日 場所 物 核種 量
5/12 茨城県(行方市) パセリ: 放射性セシウム 1110Bq/kg
5/13 神奈川(足柄) 生茶: 〃 530~780Bq/kg
7/25 福島(広野町) 小麦: 〃 630Bq/kg
7/25 福島(田村市) ナタネ: 〃 720Bq/kg
8/19 宮城 イノシシ肉: 〃 2200Bq/kg
8/20 栃木 腐葉土: 〃 2800Bq/kg →全国(沖縄まで)に出荷
8/26 千葉(白井) 玄米: 〃 47Bq/kg
9/3 埼玉 茶葉: 〃 1500Bq/kg
9/3 千葉 茶葉: 〃 2700Bq/kg
9/3 福島(棚倉) チチタケ: 〃 28000Bq/kg
9/6 福島(南相馬) クリ: 〃 2040Bq/kg
9/7 栃木(日光) 野生シカ: 〃 2037Bq/kg
10/12 横浜市港北区 マンション屋上の溝の堆積物 〃 105600Bq/kg
9月7日追記
広島型原爆20個分(ウラン換算)の放射性物質の除染方法・コストと、分離した放射性物質の廃棄場所の確保を検討・決定する必要がある。日本は何をどうしていくか、世界から注目され評価されている。ドイツ大使館(東京都港区)に着任拒否する人が多く機能不全になっているというニュースも、外国が日本の安全管理を信用していない証左だ。日本の報道が3.11後メルトダウンを否定する大本営発表を長らく垂れ流し続けたのは、海外メディアの笑い物になっている。国民はごまかせても、不適切な対応を続ければ日本の評価を下げ、結局は国益を決定的に損なう。
10月31日追記
朝日新聞の報道によると、ノルウェーなどの欧米研究チームは福島原発が放出した放射性セシウムを3万5800兆ベクレル、その大半は海に落ちたが、19%の6800兆ベクレルが日本列島に降下したと推計している。降下した面積は国土の約3%、11338km2。均等割りすると5997億ベクレル/km2=599700Bq/m2。表面10cmに集積し、土の重さを2g/cm3と仮定すると、3000Bq/kg。汚染土の総量は2.3兆kg、体積で11億5000万m3となる。もちろん実際には均等に降下していない。除染の費用対効果を検討して優先して除染する範囲を決め、手をつけられないぐらい汚染度が強いエリアに除染した土壌を集積するしかないだろう。汚染度が比較的低くても、上流の森林からの放射性セシウムが継続的に流入し続けることが予想される地域の農作物作付け制限も必要だろう。ごまかさず真実を公表し、さっさと決めてやるべきだ。そのためには事態の正確な理解と、強い信念と政治的指導力が必要だ。人命第一として迅速に進めなければ、政治家というより人として最低だ。
11月25日追記
阿武隈川から海に流れ出る放射性セシウムの量が1日あたり約500億ベクレルにのぼることが判明したという。阿武隈川流域の農作物作付け制限をただちに検討すべきだ。調査は文科省、決断は農水省、だから時間がかかるなどと言わないでほしい。
11月28日追記
阿武隈川流域は山地が79%、農地が18%で996.6km2。平成7年の時点で流域の第一次産業就業者数は73800人、出荷額は31928億円、これは福島県内の57%、宮城県内の14%のようだ。これだけ見ても大問題だ、その後農水省はちゃんと動いているのだろうか。