新しいやせ薬 | 生活習慣病の予防

新しいやせ薬

東京の国際フォーラムで、5/25-27に日本糖尿病学会が開かれています。

5/26のモーニングカンファレンスで、新しい食欲調節メカニズムの解明と、そのメカニズムに作用する食欲抑制薬『リモナバンRimonabant』に関する講演がありました。


Mayo ClinicのDr. Jensenによると、脳の視床下部内に存在するオピオイド受容体の一種であるカナビノイド受容体は食欲中枢に関与しています。神経週末から放出される神経伝達物質であるendocanabinoidがカナビノイド受容体(CB1 receptor)に作用すると、食欲が亢進します。既知の食欲抑制ホルモンであるレプチンも、CB1 receptorに抑制的に作用するようです。CB1 receptorは視床下部の他に脂肪、肝臓、筋肉、消化管に存在します。カナビノイド系は脂肪細胞においては内臓脂肪蓄積に働きます。


サノフィ・アベンティスという会社がカナビノイド受容体拮抗薬『リモナバン』を開発しました。サノフィ・アベンティスは世界第3位、ヨーロッパでは第1位の製薬会社です。リモナバンを投与すると、主に内臓脂肪が減少することにより9割の人で体重が5%以上減少しました。また、高脂血症・糖尿病・高血圧の改善効果が認められ、善玉アディポサイトカインであるアディポネクチンの上昇作用がありました。


どうやら、このカナビノイド系は食欲調節のメインシステムではなく微調節用のサブシステムのようです。実際、マウスでCB1 receptorをノックアウトしても内臓脂肪が消失する以外に生存に大きな問題はなさそうです。従って、CB1 receptor antagonistであるリモナバンは安全に使用できるようです。つまり、体重減少効果も限定的ではある、ということですが。


以上の結果はNew England Journal of medicineに報告される予定だそうです。アメリカでの発売まで1年、日本では4年後の予想だとか。1錠300円ぐらいのコストということ。なんだか、薬局で売ってもバカ売れしそうな気がしますね。因みに主要な副作用は1割未満の頻度で吐き気だとか。


PS. 耳学問につき、多少不正確な点はあるかもしれないことをお含み置きください。