STDとしてのB型肝炎ウイルス | 生活習慣病の予防

STDとしてのB型肝炎ウイルス

肝炎の原因となるウイルスの代表的なものとして、A型肝炎ウイルスHAV、B型肝炎ウイルスHBV、C型肝炎ウイルスHCVがあります。


HAVは食物や水などを介して経口感染しますが、一過性です。


それに対し、

HBVやHCV慢性化しうる点がHAVと大きく異なる点ですが、感染経路は血液感染です。母から子への出産時の垂直感染が最大の感染経路ですが、輸血、針治療、刺青や性交渉などでも感染します。HBVの垂直感染に関しては、ワクチンの出現および垂直感染防止目的のワクチン接種の保険適応化により1980年代から大幅に低下してきています。


成人になってからHBV、HCVに感染してしまった場合の慢性化率は、HBVは1%未満HCVはフィフティフィフティです。たとえばSTDとしてHBVをもらってしまった場合でも、99%は一過性の感染で終わるわけです。そういう意味では、HBVよりHCVの方が危険です。ウイルス肝炎は慢性化すると、肝硬変、肝臓がんへと進展する危険が出てきます。


ところが、HBVの中にも慢性化率の高いタイプが存在することが分かってきました。HBVにもさらに細分類があり、genotype A~Gまで分類されます。日本人の場合はほとんどがgenotype Cで、genotype Bも少しいるといった分布になっています。欧米で主流なのはgenotype Aです。このgenotype Aは慢性化率が10~20%と高いのですが、この厄介なHBVは風俗産業を介して日本で広まってきています。肝臓の教科書を読むとこの事実は記載されているのですが、「風俗産業」という言葉を回避している記載が多く大変分かり難い。


HBV感染症の治療法ですが、インターフェロンラミブジンに加え、2004年末からアデフォビルという薬が使えるようになりました。アデフォビルはラミブジンの欠点を改良した薬といえますが、なにしろ感染症は予防にしかず。危険行為は犯さないようにしましょう。