医療事故調、日病役員7割強が「自民党案の趣旨に賛成」 | kempou38のブログ

医療事故調、日病役員7割強が「自民党案の趣旨に賛成」

混迷する"医療事故調"の行方◆Vol.5
日病役員7割強が「自民党案の趣旨に賛成」
総論賛成だが、届け出範囲や刑事手続きとの関係には異論も
橋本佳子(m3.com編集長)

「調査委員会の設置には賛成意見が多いが、細部については検討の余地がある」と語る日本病院会会長の山本修三氏。

 日本病院会が同会役員を対象に実施した調査によると、“医療事故調”に関する自民党案の趣旨や死因を究明する調査委員会の設置について「賛成」との回答は7割強に上ったことが分かった。ただし、調査委員会に届け出る事例の範囲や刑事手続きとの関係については賛否が分かれ、「総論賛成、各論には検討の余地あり」という結果だった。

 この結果は1月15日の理事会で公表されたもので、日病会長の山本修三氏は、「ほぼ予想された結果。ただ、思った以上に、刑事手続きについてはセンシティブになっている実態がうかがえた」と話す。

 調査は、日病の役員176人(常任理事18人、理事41人、代議員117人)を対象に実施。自民党が昨年12月21日にまとめた「診療行為に係る死因究明制度等について」 (PDF) の柱は7つあるが、それぞれについて賛否を尋ねた。1月9日までに集まった85人(回収率48.5%)のデータを集計した。厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」の昨年10月の第二次試案 (PDF) を基に調査しなかったのは、「届け出を義務化する、ペナルティーを科すといった言葉が使われるなど、表現や内容に問題が多かったため」(山本氏)。

詳細な結果は以下の通り。
(1)趣旨(医療事故の原因究明・再発防止のための組織の設置する)
     賛成:72.9%、反対:18.8%、どちらでもない:8.2%
(2)調査委員会の設置
     賛成:70.6%、反対:20.0%、どちらでもない:9.4%
(3)届け出および調査
     賛成:55.3%、反対:27.1%、どちらでもない:17.6%
(4)再発防止のための提言など
     賛成:83.5%、反対:9.4%、どちらでもない:7.1%
(5)民事手続きとの関係
     賛成:60.0%、反対:31.8%、どちらでもない:8.2%
(6)行政処分との関係
     賛成:52.9%、反対:38.8%、どちらでもない:8.2%
(7)刑事手続きとの関係
     賛成:30.6%、反対:58.8%、どちらでもない:10.6%

 詳細を見ると、(2)の「調査委員会の設置」については賛成多数だが、国(厚労省や内閣など)の組織とするのか、あるいは国以外の組織とするかについては、理事会でも意見が分かれたという。

 また、(3)の「届け出および調査」は、「届け出る医療関連死の範囲を明らかにすることが必要」「医師法21条を改正して、異状死の届け出との重複が避けられるように担保させることが必要」などの意見が挙がった。さらに、「診療関連死であっても院内で原因が究明でき、遺族も納得できる場合には届け出なくていいという意見が見られる一方で、再発防止を目的とするなら全例を届け出るべきなど、様々な考え方がある」(山本氏)。

 民事・行政・刑事手続きとの関係について、山本氏は「やはり刑事処分との関係を問題視する意見が一番多かった。21条との関係を整理してほしいという意見に加えて、調査委員会に出された事例をそのまま警察に届け出るのではなく、まず調査委員会ですべてを調査してから、警察に届け出るべきか否かを検討すべきといった意見などがある」と話す。
 
 1月25日に、11の病院団体で構成する「日本病院団体協議会」の幹部の会合が予定されている。各団体の幹部にも同様の調査を行っており、意見を集約して病院団体としてのスタンスをまとめる予定になっている。