優れた才能、美しい容貌も謙虚であってこそ輝きをます。 私欲・慢心を捨てることが望まれるが、謙虚さも度をすごすと卑屈になるので注意。
苦労があっても地道に励み、世間の信用を得て志をかなえる。勢いがなく積極性に乏しい。結婚相手としては不釣り合いを感じるかもしれないが無難に成立する。
この卦は山、あるいは静止を表す艮と坤から成り立っている。艮の山は宇宙を象徴する乾の末の男の子であり、その頂上に垂れ込める雲や雨もまた天の恵みであり、やがては雲間から漏れ出てくる日の光もまたそうだ。
これを見れば謙虚とは、何でありまたそれがどのように偉大な英雄のうちに働くかがわかるだろう。一方艮の上にある坤は大地を表す卦だ。坤の性質は目立たぬ低さ。
だからこそ地山謙においては上に置かれ敬されている。このことを見てもなぜ単純で謙虚な人々が逆に尊敬されるかがわかる。
謙は成功を約束する。君子は物事を最後まで遣り遂げる。満ちているものを空にし、空ろなものを満たそうとするのは天の法則である。
中天にある太陽が日没に向かって沈み行き、真夜中のそれはまた再び日の出に向かって登り行く、それは天の法則の必然である。
同じように月もまた満月の頂点から欠け始め、また新月の暗闇から再び輝きを取り戻していく、これもまた天の法則である。
同じようにして地上の法則もまた満ちたるものを欠けさせ、謙虚なるものを助けようとする。
高い山々は雨水に浸食されて低くなり、谷々は逆に埋められていく。勢力あるものが衰え謙虚なるものがまた栄える、それが運命というものだ。
人の運命は普遍の法則に支配されている。その法則は必ず実現せずにはおかない。しかしながら、しかしながら人には自分の運を自ら形作る責任があるということも事実である。
それはよい運命でも悪い運命でもそれを引き寄せてしまうのは己の態度だということである。もし人が高い地位にありしかも謙虚であるならば、その人は叡知に輝くだろう。
もし人が低い地位にあってしかも謙虚であるならば、人が彼を放っては置かないだろう。かくして、君子は、己の任務を誇ることなく最後までやりとげる。