■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「IS内部」命を懸けた取材

メモ

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

【 注 】

 今月は、通常の第4週ではなく、第5火曜日にお届けしています。

■      今日のおすすめ

 『「イスラム国」の内部へ』

(ユルゲン・トーデンヘーファー著 津村 正樹他訳 白水社)

■      西側のジャーナリストとして「IS」を生きて出国した最初の人(はじめに)

 著者は、ドイツで裁判官として勤めた後、CDU(キリスト教民主同盟)の国会議員を経てジャーナリストに成ったドイツ人です。彼は裁判官の経験を通して『真実を求めるには、常に双方との話し合いが必要になる。それは、世間が一定の判断を下した事項についても必要である』との確信を持つに至ったのです。ジャーナリストに成ってからもこの確信の下に活動します。アフガニスタンのタリバンの指導者、大統領のカルザイ、シリアの大統領アサドその他多くのテロリストの指導者、体制派の指導者と会い、紛争の仲介を試み、また多くの著書を出し、その収益金は、アフガニスタン、イラン、イラク等で戦争の犠牲になった子供たちのために寄付をしています。「テロリストの友人」「アサドの友人」「理想主義的風変わりなジャーナリスト」等のレッテルを張られながら、『真実を求める確信』を貫いて活動しているジャーナリストです。

 著者は、『「IS」は「一度決めたら一般市民を殺すことすらも残酷に行う執り行う者たち」なのだろうか』という疑問をぬぐい切れず、「IS」の内部に入り、「IS」幹部、戦闘員、IS支配地内の住民と話し合い、事実を確認しようと動き始めるのです。

 詳細のプロセスは省略しますが、ついに「IS」のカリフ(カリフ国事務局)から、『「IS」内の「旅行許可書(生命保証書)」』を入手します。著者は、この証明書が真正のものか、本当に生命が保証されるのか疑念を持ちながら、「許可証」発行の仲介者を信じ、息子のフレデリック(撮影担当)、とその友人(記録担当)を同行し、「IS」内に入って行きます。

 「IS」は、なぜ「許可証」を出したのでしょう。紹介本から読み取る限り、「著者のIS内旅行を認めなければ、ISの信用に影響する」と考えたのでしょう。それ程、著者の世界的な信用の高さが窺われます。

 さていよいよ著者は、「IS」内に入り10日間の旅をします。その間、計画していた通り、「IS」幹部、戦闘員、IS支配地内の住民など様々な人々と会話をします。息子のフレデリックが「シャーリア(イスラム法)に触れるからやめなさい」と忠告する内容の質問さえもしたのです。

 10日間の旅を無事終え、ドイツに戻ることが出来た訳ですが、著者は従来の姿勢を崩さず、『「IS」内で得た「事実」』と『「IS」共同体の最高の規範である「コーラン」と「事実」』との違いを17項目に纏め、『イスラーム国のカリフと外国人戦闘員への公開書簡』として手紙にしたため、カリフ宛てに出したのです。それが紹介本として発行されたのです。ドイツではベストセラーとなっています。

 17項目の内、特に重要と思われる項目を次の項と結びの項で紹介しましょう。

■      「IS」が意図して広めた野蛮性の精神は「コーラン」の何処にもない

【「宗教的寛大さ」がない】

 著者は、「書簡」にこう綴る。『貴方がた(カリフ及び戦闘員)は、人が、シーア派、アラウィ―派、ヤズイード教徒、民主主義に親しみを感じるスンニー派という理由だけで、残忍に殺害しています。しかし「コーラン」には宗教的問題における強制を禁じています(コーラン第2章256節)。宗教的寛大さは、何世紀にもわたってイスラーム支配者達が最も称賛を受けた徳の一つです。敬愛するカリフよ、どこにあなたの寛大さがありましょうか。』

【「侵略戦争」に対しコーランは禁止している】

 著者は、「書簡」にこう綴る。『預言者(ムハマンド)は決して侵略戦争を行いませんでした。彼はいつも攻撃を受けるばかりでした。ところがカリフのあなたは、あなたに対して何もやっていない、すべての地域、町や村に傍若無人に襲いかかっているのです。(不当な目に遇わされた者が、相手に敢然と挑みかかるのは、〈アッラー〉のお許しが出る〈コーラン22章39節〉。)』

【汝、人を殺すなかれ】

 著者は、「書簡」にこう綴る。『そして、この章が、あなた(カリフ)が最も罪を犯した箇所である。誰かが一人の人間を殺せば、それは人類全体を殺したようなものである。誰かが一人の人間を救えば、それは人類全体を救ったようなものである(コーラン5章32節)。その命を神が不可侵とされた人間をだれ一人殺すなかれ(コーラン6章51節)。』

■      「書簡」における著者の最後の結び(むすび)

 著者は、書簡の最後に次のように綴ります。『あなたの手厚いもてなしに改めて感謝いたします。あなたが支配している国を比較的自由に訪問する機会を与えてくれたことに感謝します。私はいつの日か、本物のイスラーム国を訪問できたらと思っています。その国は西側諸国の不正行為や思い上がりに対して泰然と抵抗できるでしょう。結局ある一つの反イスラーム国しか知ることが出来なかったことは極めて残念です。』

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴40年の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

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メモ

 

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

【 注 】

 

 今月は、通常の第4週ではなく、第5火曜日にお届けしています。

 

 

■      今日のおすすめ

 

 『「イスラム国」の内部へ』

 

(ユルゲン・トーデンヘーファー著 津村 正樹他訳 白水社)

 

 

■      西側のジャーナリストとして「IS」を生きて出国した最初の人(はじめに)

 

 著者は、ドイツで裁判官として勤めた後、CDU(キリスト教民主同盟)の国会議員を経てジャーナリストに成ったドイツ人です。彼は裁判官の経験を通して『真実を求めるには、常に双方との話し合いが必要になる。それは、世間が一定の判断を下した事項についても必要である』との確信を持つに至ったのです。ジャーナリストに成ってからもこの確信の下に活動します。アフガニスタンのタリバンの指導者、大統領のカルザイ、シリアの大統領アサドその他多くのテロリストの指導者、体制派の指導者と会い、紛争の仲介を試み、また多くの著書を出し、その収益金は、アフガニスタン、イラン、イラク等で戦争の犠牲になった子供たちのために寄付をしています。「テロリストの友人」「アサドの友人」「理想主義的風変わりなジャーナリスト」等のレッテルを張られながら、『真実を求める確信』を貫いて活動しているジャーナリストです。

 

 著者は、『「IS」は「一度決めたら一般市民を殺すことすらも残酷に行う執り行う者たち」なのだろうか』という疑問をぬぐい切れず、「IS」の内部に入り、「IS」幹部、戦闘員、IS支配地内の住民と話し合い、事実を確認しようと動き始めるのです。

 

 詳細のプロセスは省略しますが、ついに「IS」のカリフ(カリフ国事務局)から、『「IS」内の「旅行許可書(生命保証書)」』を入手します。著者は、この証明書が真正のものか、本当に生命が保証されるのか疑念を持ちながら、「許可証」発行の仲介者を信じ、息子のフレデリック(撮影担当)、とその友人(記録担当)を同行し、「IS」内に入って行きます。

 

 「IS」は、なぜ「許可証」を出したのでしょう。紹介本から読み取る限り、「著者のIS内旅行を認めなければ、ISの信用に影響する」と考えたのでしょう。それ程、著者の世界的な信用の高さが窺われます。

 

 さていよいよ著者は、「IS」内に入り10日間の旅をします。その間、計画していた通り、「IS」幹部、戦闘員、IS支配地内の住民など様々な人々と会話をします。息子のフレデリックが「シャーリア(イスラム法)に触れるからやめなさい」と忠告する内容の質問さえもしたのです。

 

 10日間の旅を無事終え、ドイツに戻ることが出来た訳ですが、著者は従来の姿勢を崩さず、『「IS」内で得た「事実」』と『「IS」共同体の最高の規範である「コーラン」と「事実」』との違いを17項目に纏め、『イスラーム国のカリフと外国人戦闘員への公開書簡』として手紙にしたため、カリフ宛てに出したのです。それが紹介本として発行されたのです。ドイツではベストセラーとなっています。

 

 17項目の内、特に重要と思われる項目を次の項と結びの項で紹介しましょう。

 

 

■      「IS」が意図して広めた野蛮性の精神は「コーラン」の何処にもない

 

【「宗教的寛大さ」がない】

 

 著者は、「書簡」にこう綴る。『貴方がた(カリフ及び戦闘員)は、人が、シーア派、アラウィ―派、ヤズイード教徒、民主主義に親しみを感じるスンニー派という理由だけで、残忍に殺害しています。しかし「コーラン」には宗教的問題における強制を禁じています(コーラン第2章256節)。宗教的寛大さは、何世紀にもわたってイスラーム支配者達が最も称賛を受けた徳の一つです。敬愛するカリフよ、どこにあなたの寛大さがありましょうか。』

 

【「侵略戦争」に対しコーランは禁止している】

 

 著者は、「書簡」にこう綴る。『預言者(ムハマンド)は決して侵略戦争を行いませんでした。彼はいつも攻撃を受けるばかりでした。ところがカリフのあなたは、あなたに対して何もやっていない、すべての地域、町や村に傍若無人に襲いかかっているのです。(不当な目に遇わされた者が、相手に敢然と挑みかかるのは、〈アッラー〉のお許しが出る〈コーラン22章39節〉。)』

 

【汝、人を殺すなかれ】

 

 著者は、「書簡」にこう綴る。『そして、この章が、あなた(カリフ)が最も罪を犯した箇所である。誰かが一人の人間を殺せば、それは人類全体を殺したようなものである。誰かが一人の人間を救えば、それは人類全体を救ったようなものである(コーラン5章32節)。その命を神が不可侵とされた人間をだれ一人殺すなかれ(コーラン6章51節)。』

 

 

■      「書簡」における著者の最後の結び(むすび)

 

 著者は、書簡の最後に次のように綴ります。『あなたの手厚いもてなしに改めて感謝いたします。あなたが支配している国を比較的自由に訪問する機会を与えてくれたことに感謝します。私はいつの日か、本物のイスラーム国を訪問できたらと思っています。その国は西側諸国の不正行為や思い上がりに対して泰然と抵抗できるでしょう。結局ある一つの反イスラーム国しか知ることが出来なかったことは極めて残念です。』

 

 

【酒井 闊プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

 

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

 

  http://sakai-gm.jp/

 

 

 

【 注 】

 

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

 

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