■■【経済の読み方】 2013年1月上旬を時系列的に見る

 世の中の動向は、アラカルト的に見ることも大切ですが、時系列的に見ると、また異なった面が見えてきます。
 ここでは、これまでの流れをコンパクトにまとめてご紹介します。


◆ ロシアのグローバル・エネルギー戦略とその背景 2013/01/10

 エネルギー大国ロシアがエネルギーのグローバル戦略の見直しを迫られています。

 NHK解説委員の石川一洋氏のテレビ番組「シェール革命に揺れるロシア」を興味深く見ました。

 「シェール革命」とオーバーな表現で言われるほど、シェールガス採掘技術の開発は大きな影響をエネルギーの世界に及ぼし始めています。今まで採掘不可能と思われたシェール層と言われる地層から、天然ガスの採掘が可能となったのです。アメリカエネルギー省の予想によりますと2030年までにアメリカの天然ガス生産は2倍近くに増えて、その40%がシェールガスになるとしています。

 アメリカでは、さらに最近ではシェールオイルと言われる原油も同様の方法で採掘が可能となりました。

 アメリカ国内のガス価格は下落を続け、日本などアジア市場の5分の1以下の安さとなっています。オバマ大統領も、シェールガスやオイルなどの生産の増加によってアメリカはエネルギーの純輸出国となると自信を示しています。

 ロシアは、2030年までに天然ガスの生産量、輸出量ともに1.4倍以上に増やすという強気の戦略を取ってきました。その背景には、ロシアのガス輸出の60%を占めるヨーロッパ市場へのパイプラインによる大量供給です。ほかに競争者がいなかったため、売り手市場の殿様商売を続けていました。

 ガスOPECのようなガス生産国の組織を作り、他のガス生産国カタールやイランと手を結び、世界のガス市場への影響力を増すことも考えていました。

 しかしこの戦略はアメリカのシェール革命を想定していませんでした。昨今の状況から、この前提条件はすでに破たんしていると言ってよいでしょう。このためロシアはあわてているのです。現在、戦略の改定を余儀なくされています。

 それ加えて、これまでは北米輸出をしていた中東のカタールがヨーロッパに向けて安値で輸出を始めたのです。この状況に乗じてヨーロッパ諸国は当然、ロシアにガス価格の値下げを要求しています。

 当然ロシアの目は、今まであまり重視していなかったまずアジアに目を向け始めました。東シベリアのガス田を開発、ウラジオストクへの3200キロにもおよぶガスパイプラインを敷設と、短期間にLNG液化天然ガスの基地作りの計画を決定しました。

 地球温暖化の影響を受けて氷が減少した北極海に新たな航路を開き、北極海沿岸の天然ガスや原油を日本や中国に輸出しようと考えています。

 高額なエネルギーコストを払い続けている日本としても、このさい対応を真剣に考えるべきです。

 石川氏はポイントを3つ上げていますので紹介して起きましょう。

 第一点は、原油価格連動性など既存のガス価格決定方法に代わる、新たな価格メカニズムを造ること

 第二点は、液化天然ガスによる世界市場形成

 第三点はアジア市場でのマーケッティングです。

 プーチン大統領が北方領土問題を含め対日外交に積極的な姿勢を示すのは、シェール革命に揺さぶられ、否応なくアジアに顔を向けるロシアの事情があります。安倍・プーチン両首脳は、平和条約締結に向けた作業を活発化させることで一致しています。

 日ロ関係は新たに誕生した安倍政権とプーチン大統領との間で、ゆっくりと動き始めています。北方領土問題を動かすためにもエネルギーも含む日ロの戦略対話を始める機は熟していると言えるでしょう。

◆ ユーロの失業率が最悪 2013/01/09

 ギリシャに端を発した信用不安から、ユーロ圏だけではなく、元気であった中国を始め全世界の景気減速を引き起こしてから久しくなります。単一通貨精度そのものの存続にまで発展してしまいました。

 EU(ヨーロッパ連合)の統計局が、発表したところによりますと、通貨ユーロを導入しているユーロ圏17か国の2012年11月の失業率は11.8%と、前の月より0.1ポイント悪化し、ユーロ導入以来最悪を更新しました。

 失業率が最も高い国はスペインで26.6%でした。しかも前月より0.4ポイント悪化しています。とりわけ25歳未満の若者では56.5%で、かつ悪化しています。

 ユーロ圏では緊縮策だけでなく経済成長や雇用創出を重視する政策を進めていますが、まだ効果は現れてなく、雇用情勢の悪化に歯止めがかかっていません。


◆ 日本企業の海外企業買収 2013/01/08

 アベノミクス(安倍政権による株価上昇)により、円安傾向が続いているといわれています。しかし、円安というより財政の崖問題の一時的回避によるドル高というべきです。すなわち、安倍総理による効果だけではありません。

 日本は現在貿易赤字です。すなわち輸入の方が輸出より多いのですから、円高の方が短期的には日本経済にプラスなのです。円高であると原油・LNGをはじめとする輸入物価が安くなるからです。

 円安は日本経済にプラスという見方は必ずしも正しくないことを私たちは認識すべきです。

 2012年は円高できましたので、海外資産の購入も割安感がありました。その結果、日本の企業が去年1年間に海外の企業を買収したり出資したりした件数は500件を超えました。これは、平成2年のバブル経済の時期を上回って、これまでで最も多くなったことになります。

 バブル時代を超える海外企業買収は、いつまで続くのでしょうか?バブルの時のように、バブルがはじけたらとたんに買収価格より安く手放した苦い経験を忘れてはなりません。


◆ アメリカの雇用状況が改善? 2013/01/07

 財政の崖を一時的ではありますが、回避できたことから、アメリカ経済に明るさが戻り始めているようです。

 アメリカ経済の見方としてはいろいろな指標があります。私は、中でも失業利と雇用統計を重視しています。

 アメリカの主要な企業が、去年発表した人員削減の数は52万人余りでした。これは過去15年間で最も少ないリストラ状況です。雇用状況が改善傾向にあるのかもしれません。

 背景には、新車販売が好調な自動車業界、シェールガスやシェールオイルと呼ばれる新しいエネルギーの増産による関連産業、アップルの中国から国産への切り替えなどで新たな雇用が生み出されていると考えます。

 一方で、パソコンからタブレット端末への急速な移行により、HP(ヒューレット・パッカード)のPC部門は大幅な人員削減をしています。金融危機以降、業績の低迷が続いている金融業界もIT業界以上のリストラです。

 まだ、産業別にまだら模様がありすぎますので、景気の回復と読むことには抵抗があります。


◆ 農業が本格的なビジネスに 2013/01/06

 TPPで農業に関心が高まっている中、一方で農業にもビジネスとしての関心が高まっています。

 これまで日本の農業は、生業的な発達とそれを支援する農協の努力で今日に至っている面が強いでしょう。そのために小規模農業、三ちゃん農業が中心でした。山が多く、平野での宅地化が進み、遊休農地があり、となかなか大規模農業が進みません。

 その様な農業環境の中で注目されているのが植物工場です。それも農業従事者の体質転換というよりは、異業種からの農業産業への進出が相次ぎそうです。

 密閉された部屋の中で育てる植物工場の栽培技術の向上が進んできました。企業の間では栽培のシステムの販売など、農業関連のビジネスに本格的に乗り出す動きが相次いでいます。

 これまでLEDでは植物が育たなく、蛍光灯に頼っていました。ところが特定の波長を持つ赤いLEDの光の下では、植物の成長を大幅に早めることが可能であることが解りました。

 2013年4月に福島県川内村が完成される予定のレタスの栽培工場がこの新方式です。従来のレタスの温室栽培では年に4回程度しか収穫できませんでしたが、このLEDの照明を使うと20回前後収穫することが可能ということです。

 技術進歩が、農業のあり方まで変えて行くのですね。


◆ 日本産の金鉱山 2013/01/05

 金鉱山といいますと、佐渡を連想される方が多いでしょう。首都圏に住んでいる人には、伊豆半島の土肥金山も身近ですね。

 今、日本で最大の金鉱というと鹿児島県にある菱刈鉱山だそうです。その菱刈鉱山で、ことし初めての金鉱石の出荷が、仕事始めの今日行われたそうです。出荷式のあと安全を願う神事が行われました。

 精錬は、愛媛県西条市にあるそうです。

 菱刈鉱山の歴史はそれほど古くなく、昭和60年から採掘されています。鉱石1トン当たりの金の含有量がおよそ40グラムと、世界トップレベルの高い純度です。これまでに産出した金は200トン余り、現在も180トンの埋蔵量が確認されています。

 まだまだ10年以上採掘する量が埋まっているそうで、最近の金価格で計算すると約7800億円分の金が眠っていることになります。

 私のような貧乏人には、あまり縁がなさそうです。



◆ 食料品や関連品が値上げ? 2013/01/04

 生鮮野菜は季節不順などで価格が変動します。ご記憶の方も多いと思いますが、昨年はアメリカの干ばつで穀物が国際的に値上がりしました。トウモロコシなどは、家畜飼料にも影響します。

 製品にすぐ影響する食品関連として小麦があります。小麦価格は、政府が価格調整をしています。輸入小麦の売り渡し価格は2012年10月に平均で3%引き上げされました。その結果、家庭用の小麦粉の値上げが一年ぶりに1月4日に実施されます。

 値上げされるのは、天ぷらやケーキなどに使われる「薄力粉」と、うどんやお好み焼きなどに使われる「中力粉」の家庭用の商品です。2%から5%ほどの値上げで、1キログラム入りの薄力粉の主力商品では5円程度の値上がりになります。

 折しも安倍政権がインフレターゲット2%を掲げていますが、言葉に騙されてはいけないと思います。物価が2%上がると考えた方が良いでしょう。これまで日銀は1%をターゲットにしてきましたが、この調整は結構難しく、行きすぎになることがあります。

 現に、安倍政権のこの政策に、アメリカの経済誌ウィールストリート・ジャーナル紙が懸念を示しています。

 良い結果に結びつく経済政策を願いたいです。

◆ 2013年日本経済の見透し 2013/01/03

 財政の崖問題を何とか回避できたアメリカのオバマ大統領ですが、市場も一斉に反応して株高になりました。為替市場でもドルが買われ、円安になり、日本の株価も上がりました。

 では、2013年度の景気は良くなるのでしょうか?

 民間の調査会社など10社が予測した2013年度(平成25年度)の日本経済はプラス成長になる見通しです。アメリカや中国の経済が回復軌道に乗って海外経済の持ち直しに対する期待による輸出の増加などが見込まれるからです。

 2012年度の日本経済は、世界経済の減速の影響で、3か月ごとのGDP(国内総生産)の伸び率が、物価の変動を除いた実質で2期連続のマイナスになりました。景気が後退局面に入った可能性が高いとされています。

 一方、GDPの伸び率は、予測の高いところが実質2.3%、低いところでも0.8%と10社ともにプラス成長を見込んでいます。

 来年4月に予定されている消費税率の引き上げを前に、消費や住宅の購入が増える予想もあります。

 これらの予測によりますと、日本の景気は底を打ち回復に転じる形です。不安要因もあります。日中関係の悪化、日韓問題の不透明さなど景気の下振れ懸念もあります。

 安倍内閣の大型補正予算や2013年度予算により、公共事業などがさらに日本経済を押し上げる可能性があります。

 国民感情として、「いい加減、本格的な景気回復をやってくれ!」という声が大きいのではないでしょうか。


◆ 財政の崖回避へ 2013/01/02

 ギリギリのところで、財政の壁を回避する決定が上院を通り、会員へのバトンタッチがなされました。おそらく回避のための決議がなされるでしょう。

 「財政の壁」とは、いわゆるかねてより続けて来た中間所得層に対する減税の法律の期限が切れることにより増税から国民の消費購買意識が低下するという問題です。また、財政赤字が慢性化していることから政府の歳出削減により、景気回復策を打てないというダブルパンチのことです。

【お金と経済のいろいろ】 財政の壁
 2013年から、減税が切れ「実質的増税」と「強制的な歳出削減」のダブルパンチで崖から落下するような急激な財政の引き締めが起こってしまう可能性があること

 ただし、当初オバマ大統領が主張していた富裕層の増税は、年収45万ドル以上と決まりそうで、最低金額が引き上げられました。2日から予定されている予算の大規模な強制削減については、2か月実施を先送りする内容です。中間所得層に対する所得税の減税を恒久化されることになり、民主・共和の痛み分けという結着でした。

 本日、下院で可決されて、財政の崖が回避されることになります。

◆【年頭所感】2013年 日本経済の見通し 2013/01/01

 第二次安倍内閣がスタートし、安倍総理大臣が精力的に動き回っています。少々、パフォーマンスが行き過ぎているように感ずるほどです。

 多くの人が言っているように、今回の安倍人事は、先の総裁選挙で安倍さんを積極的に支持した人たちの入閣が目立っています。ちました。安定感と一体感の両立を目指した体制と言えますが、閣僚が期待通りに動くのでしょうか?

 景気を下支えするため、大胆な金融緩和と、公共事業などを中心とした思い切った財政出動を行っていく考えを示しています。

 最重要課題であるデフレからの脱却を担う経済閣僚には、麻生さんを筆頭に、甘利さんや茂木さんなど、比較的、自らに近い人を揃えました。

 これまでの経験で、自民党の公共事業予算配分はお手のものです。しかし、短期的には有効かもしれませんが、本格的な経済成長に繋がるほどの効果はありません。新しい産業分野を育てることができるかどうかがポイントです。

 新政権の最初の仕事は、何と言っても、今年度の補正予算案と来年度予算案の成作業です。1月末に通常国会を召集し、補正予算と、来年度予算の成立を目指すことになります。

 この国会が、いつもと違うのは、予算案の提出が大きく遅れる上、夏に参議院選挙が控えているので、大幅な会期延長ができないことです。予算成立は、年度を大きくまたぐでしょう。

 他のことをやる時間はほとんどない中、1月20日のアメリカの大統領就任式の後、オバマ大統領と日米首脳会談を行いたいとしています。ロシアのプーチン大統領との会談もできるだけ早期に行うべきでしょう。

 これらを鑑みるに、本当の意味で安倍カラーを打ち出でるのは、参議院選挙で勝った後になるといえます。

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)には、党内に強い反対もあります。復興を加速させること、原発の再稼働問題、定数是正を含む選挙制度の抜本改革などといった課題も山積しています。

 安倍さんの鷹派的な発言は、中韓を刺激しています。内憂外患状態を日米問題だけで乗り切れるのでしょうか。その手腕が問われています。

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