ブータンのインターネット事情 | ワシントン通信 3.0~地方公務員から転身した国際公務員のblog

ブータンのインターネット事情

 ブータンではご存知のように1999年までテレビが禁止されていました。インターネットが解禁になったのも、やっぱり1999年です。この年はブータンにとって、情報メディア元年と言っても過言ではないですね。

 その1999年に開業したブータン唯一のインターネット・サービス・プロバイダーは、「DrukNet(ドゥルックネット)」という名前です。実は先日、僕もこの「DrukNet」に加入しました。ブータンに来てからのこのHPの更新は、全て「DrukNet」のおかげです。僕が加入したのは短期滞在者向けで、加入から90日以内で最大20時間使用できるというカテゴリーです。これで、600Nuでした(ブータンの通貨単位はヌートラムといい、Nuと表す)。日本円に換算すると、約1500円くらいでしょうか。

 僕が滞在している首都ティンプーのホテルには、ビジネス・センターにコンピューターが一台置いてあってインターネットが使えます。これは一分間使用につき5Nu(約12円)です。ホテルのそばにはインターネット・カフェもあって、こちらは一分間につき2Nu(約5円)とられました。ブータンに着いて何度か、ホテルのビジネス・センターやインターネット・カフェでインターネットを試しましたが、どちらも恐ろしくスピードが遅いです。例えば30分間使用したとして、このうちの20分はただ画面が現れるのを待っている時間です。しかも当然ながら、ブータンのコンピューターでは日本語の読み書きができません。これではあんまり意味が無いので、思い切って「DrukNet」に加入したという訳です。今は、愛用の「DynaBook」から「DrukNet」にアクセスしてこれを書いています。

 2001年末時点で、「DrukNet」への加入者は約千人に達したそうです。ブータンの人口は約70万人ですから、インターネットの普及率は単純計算で700人に一人の割合です。首都ティンプーには、上で述べたようにインターネット・カフェも数軒あります。おそらくこれからはブータンでも、インターネットがもっともっと普及していくのでしょう。そうなったら、近代化の負の側面も含め、外国文化がどんどん入って来るのは避けられません。インターネットは、頑なに独自の文化を守ってきたブータンの社会にどう影響するのでしょうか。ITは、昨日書いたブータンの国家コンセプトである「GNH(国民総幸福)」に寄与できるのでしょうか。この答えが出るのは、もう少し先のようです。