『上院議員』(上・下) リチャード・バウカー | たまらなく孤独で、熱い街

『上院議員』(上・下) リチャード・バウカー

上院議員〈上〉 (創元推理文庫)

上院議員〈上〉
著者:リチャード・バウカー

訳者:高田 恵子

(創元推理文庫)

初版:1996年4月19日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

上院議員〈下〉 (創元推理文庫) 上院議員〈下〉
著者:リチャード・バウカー

訳者:高田 恵子

解説:北上 次郎

(創元推理文庫)

初版:1996年4月19日

Amazonで詳しく見る by G-Tools

1994年の作。

議会は会期末を控え、選挙選も始まった。

そんな大事な時に女性雑誌記者の死体が見つかる。

見つけたのは被害者と「関係」を持つ上院議員その人。

二人の関係がばれれば再選はおろか政治生命も絶たれてしまう。

しかも地方検事はライバルの民主党寄り。

たとえ状況証拠だけだとしても逮捕されれば終わりだ。

さらに上院議員にはもっと秘密にしなければならない過去の行為もあった。

 

なかなか読ませます。

自分が蒔いたタネとはいえ、心が折れずにはいられない。

私なら「もうやめた」と言って投げ出しそうだな。

 

みんなの目障りで邪魔者扱いの被害者がいささか気の毒ですが、作者はこの女性にも細やかな目配りを忘れない。

こんな力強い物語を紡ぐことができるバウカーなのに、訳されているのは『約束の土地』と『上院議員』だけのようだ。

どちらも読者を決して失望させない出来栄えなのに。

今ならそこそこ評判になっていると思うが、翻訳されたタイミングが悪かったのかな。

残念だ。