『事件、わたしの場合』 ジェニファー・シュート | たまらなく孤独で、熱い街

『事件、わたしの場合』 ジェニファー・シュート

事件、わたしの場合 (扶桑社ミステリー)

事件、わたしの場合
ジェニファー シュート

訳:安野 玲

(扶桑社ミステリ-)

初版:1998年9月30日
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38歳の女弁護士が、友人宅での大晦日のパーティで知り合った25歳の男。

さっそく、ばっこんばっこん。

えーかげんにせーや。

だが10月の末に女と男の間で事件が。

その凄惨さにマスコミは女弁護士に「鬼女」というニックネームをつける。

何があったのか。

 

物語は加害者である女弁護士の手記と、合間に挟まれる新聞記事など。

最初は女のプライドが高すぎたのではないかと思った。

次は、もしかしてこの女は宇宙人かと思うくらい理解不能。

読むのが苦痛だったが、薄いからと読み続ける。

新聞記事等を除くと、すべてが加害者である女弁護士の言葉で、被害者の言葉はひとつもない。

結局は、いい訳めいた感じになるよね。

それにしても、私の記憶に間違いがなければ被害者の男に対しての謝罪は一切なかったな。

 

帯に作者の言葉が。

「わたしは、きれいに飾りたてたラブ・ストーリーを書こうとは思わない。人が自分をコントロールする術を失って、思ってもみなかったことをしでかしてしまう――そんな病のような激情を描きたかった。・・・・・・それに、セックスと欲望に関するでたらめな話も打ち止めにしたかったし、女同士が内輪で盛り上がるような色男についても書きたかった――ユーモアを持ち、絶望し、落ちぶれはてた卑劣な男の姿を」

 

前半はその通りなんでしょうが、後半は首を捻りたくなりますな。

どこにリアリティがあるのですか。

一回り以上も年の離れた男と女が出会ってすぐ寝るのはでたらめではないのですか。

「落ちぶれはてた卑劣な男」はでてましたが、「ユーモアを持ち、絶望した」様子はどこに書かれてましたか?

 

売れる本に売れるだけの理由があるように、売れない本には売れないだけの理由があるのですね。

この本はもちろん後者ですが。