『熱帯』 佐藤 哲也
佐藤 哲也 (文藝春秋) 初版:2004年8月30日 |
なんじゃこりゃ。不条理?ドタバタ?ナンセンス?思弁?勘弁?筒井康隆でもなくかんべむさしでもなく北野勇作でもなくこんな意味のない話を書ける作家がいたのか。「不明省」という官庁がある。うやむやにする所。そこのコンピュータシステム変更に関する大騒ぎ。「事象の地平」がある。それをめぐる大騒ぎ。だからどうした。水棲人が登場する。それがどうした。繰り返されるフレーズや光景。それがどうした。CIA?どれがどうした。KGB?それもどうした。ホメロス?それは食えるのか?ブラックホール?ふりかけにするとご飯がススム君か?面白いと言えば面白いが、面白くないと言えば面白くないので、帯の惹句を書く。それがどうした。
熱帯と化した東京を、
システムエンジニアが、
CIAとKGBが、
エアコンを爆破する過激派が、
部長もどきが、水棲人が疾走する!
もうひとつ、伊坂幸太郎の推薦文を。
佐藤哲也と同じ時代に生きることができて、
そしてその作品を母国語で読めるということを、
僕たちはもっと誇っていいと思う。
それがどうした。