『絃の聖域』(上) 栗本 薫
絃の聖域〈上〉
(講談社文庫) 初版:1982年12月15日 (1980年8月に講談社より刊行) ※写真は角川文庫版 |
なんかイメージとしては横溝正史風のおどろおどろしいものかと思い、後回しにしましたが違った。
長唄の家元・安東家。
都会の真ん中にある古いお屋敷。
周辺と隔絶したかのような、時間が止まったかのような世界。
家元の人間国宝・安東喜左衛門。
妻は離れ、高齢で体も弱り今は離れで妾と暮らす。
娘婿・喜之助。
家元の娘を娶りながらも、妾とその子供を離れに住まわす。
娘・八重。
一男一女を授かるが、どちらもぶ男の喜之助には似ても似つかない。
どろどろとした人間関係。
そして、ついに悲劇の幕は切って落とされるが、被害者はそんな愛憎とは無縁の人だった。
伊集院大介は八重が溺愛する息子・由紀夫の家庭教師(本当は塾の経営者兼講師)として登場。
その飄々とした憎めない風貌や物腰から事件に顔を突っ込むが・・・。