『驚愕の曠野』 筒井 康隆
驚愕の曠野 | |
筒井 康隆 (河出書房新社) 初版:1988年2月25日 |
マサキ、ディックに続いてツツイも著作リストを作りたいが、どう作ろうかと考えているのに、ついパラパラと読み始めると面白くて没頭してしまう。
これもそう。
これも実験作なのだろう。
昔、J・G・バラードは「他の作家が物語を終えるところから始め、始めるところで終える」と評されたらしいが、これも似たようなものか。
途中から始まり、中途半端(な感じ)で終る。
多層世界。
いびつな世界。
語る者、語られる者。
世界のありように疑問を持つ登場人物。
死んでは生き返る。
だが、生き返るたびに下層の世界に落とされる。
誰の何のための世界なのか。
あちらこちらに物語のヒントはある。
だが、全貌はつかめない。
もどかしい。
読みにくくはないし、中篇といっていいくらいの長さ。
ツツイの世界に取り込まれたら、抜けるのに苦労するぜ。
こんなに豊潤で面白い世界が口を開けて待っているのだもの。
ああ、『東海道戦争』から順を追って読み返したいくらいだ。