『ライトジーンの遺産』 神林 長平
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ライトジーンの遺産
(ハヤカワ文庫JA) 初版:2008年10月25日 (1997年1月に朝日ソノラマより刊行) |
「アルカの腕」
「バトルウッドの心臓」
「セシルの眼」
「ダーマキスの皮膚」
「エグザントスの骨」
「ヤーンの声」
「ザインの卵」
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時は近未来。
臓器が崩壊する病いが蔓延する世界。
かつて、人工臓器を一手に製造していたライトジーン社。
そこで造られた人造人間が2体。
ライトジーン社が潰され、今は臓器ごとの専門メーカーが凌ぎを削る。
人造人間のコウとMJ。
彼らにはサイファという特殊能力が発現したが、ライトジーン社崩壊の混乱に乗じて逃げ出す。
MJは大手臓器メーカーで探偵役として周りに眼を光らせているが、コウはしがない中年となりウイスキーを愛し本を愛す。
それでも生きるために仕事はするが多くは望まない。
他は特殊な事件を扱う中央署第四課の課長・申大為、若き刑事・タイス・ヴィー。
最初の2話くらいは隔靴掻痒という感じで読みにくかったのですが、その後は順調。
インターミッションとも思える「セシルの眼」や「ヤーンの声」もなかなかでした。
臓器崩壊という設定が全編に活かされているかは少々疑問ですが、コウやMJ,謎の申大為、それに成長していくタイスの描き方が上手い。
600ページ超あるので気軽には読めませんが、読書中はこの世界にどっぷりと浸ることができました。