『治療島』 セバスチャン・フィツェック | たまらなく孤独で、熱い街

『治療島』 セバスチャン・フィツェック

治療島

治療島

セバスチャン・フィツェック

訳:赤根 洋子
(柏書房)

初版:2007年7月5日 

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これは面白い。

サイコスリラーというと、精神異常犯が猟奇殺人を犯しそれを作者がこれでもかこれでもかと描写するので読むほうはゲロゲロとしてしまう、というイメージがありました。

(どんな偏見だよ)

『検屍官』の印象が強いのかな(『検屍官』がサイコスリラーかどうかは別として)。

ですからマサキのを除いてほとんど読んだ記憶がありません。

読んでても印象に残ってないのかも。 

 

これはなかなか読ませます。

なにより猟奇的でないのがいい。

 

精神科医ヴィクトル・ラーレンツの9歳になる一人娘のヨゼフィーネがある日突然行方不明となる。

目撃者、手がかり、死体なし。

必死で探すヴィクトルだったが・・・。

4年後、小さな島の別荘に引きこもっていたヴィクトルの元にアンナと名乗る女性が現れる。

アンナは自らを統合失調症と言いヴィクトルに治療を求め、自分のことを語り始める。

その妄想としか思えない話しはヨゼフィーネの存在を暗示しているかのよう。

なにが現実でなにが妄想か。

ヴィクトルにとっての悪夢が始まる・・・。

 

各章は短く読みやすいですが、新たな謎が提示されたり話しが寸断されたりで続きが気になります。

まさにノンストップサスペンス。

ラストは評価が分かれるところでしょうか。