『華氏451度』 レイ・ブラッドベリ | たまらなく孤独で、熱い街

『華氏451度』 レイ・ブラッドベリ

華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)

華氏451度
レイ・ブラッドベリ

訳:宇野 利泰

(ハヤカワ文庫NV)

初版:1975年11月30日

※画像等はハヤカワ文庫SF版 

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ミステリや冒険小説などのオールタイムベスト級を今頃読もうが今更読むまいがさして気にならないが、SFだと妙に気恥ずかしい。

jettさんの気持ちが少々分かるような気がしてきました。

で、いまごろ読みました・・。

 

ここ3冊ほど、いささかクラシカルな本が続いてしまったが、3冊に共通することが2つあって興味をそそられました。

ひとつはタバコ。

まあ、よく吸うことよ。

もうひとつは(『ヒルダよ眠れ』はどうだか忘れたが)、若い女性が男性に向かって「あんた」と言うこと。

50年代60年代ではそれがふつーだったのかねえ。

今だと「あんた」はまず使わないし、「あなた」は親密な相手に言いそうだし、○○さんと名前で呼ぶのが一般的かなあ。

 

ブラッドベリ。

昔、短編はいくつか読んだ。

が、特に印象もなく。

ただ、中学か高校の時になにを血迷ったのか『たんぽぽのお酒』を衝動買いしたんだよね。

当時は小遣いの中から文庫本をたまに買う程度だったし、今でもそうだけど単行本1冊で文庫本なら2冊か3冊買えるのにねえ。

ところが、早速帰って読んだはいいけど・・・。

前半は面白く読めたが、後半はなんか気持ち悪くなってしまった。

内容は完璧に忘れているが、そのイメージは未だにまといついている。

なにが原因か確かめる気もないが。

 

それからはブラッドベリの長編も短編も一切読んでいないのだが、この本くらいは読んでおかないと本読みの端くれとしてどうなのと思いチャレンジ。

他にも本読みの端くれとしては読まねばならない本がたくさんあるんでしょうが・・・。

 

タイトルはあまりにも有名ですが、紙が燃え出す温度。

摂氏なら220度くらいらしい。

主人公はファイアマン。

消防士ではなくて、文字通り火をつける。

危険思想を助長するとして、ほとんどの本は焚書となり所持している人は本を家ごと焼かれてしまう。

読める本もあらすじ程度のダイジェスト版しかない。

人々はテレビやラジオや車など、与えられたものにしか関心を示そうとしないし、お上もそれを推し進め反抗しない従順な輩をつくりだす。

だが主人公はその欺瞞に気がつき、なんとか本を残そう広めようとするが、逆に密告され自分の家が燃やされるハメに。

そこでの(それまでの)主人公の行動は、自己中自己保身そのものでガッカリしたものだが、ラストに一筋の希望が残されていた。

明るい未来が約束されたわけでもないが。

現在の世界の有様はどうなんでしょうね。