『ディバイデッド・フロントⅠ隔離戦区の空の下』 高瀬 彼方
ディバイデッド・フロント〈1〉隔離戦区の空の下
(角川スニーカー文庫) 初版:2003年6月1日 |
ハテナに引っ越したペトロニウスさんの記事 を見て無性に読みたくなりました。
(以前にも『咲』を読みたくなったことがありましたが、ちょっと合わず1巻だけで終了。)
内容等は上にリンクを貼った記事を読んでもらえれば、と思います。
私はこれ以上のことをかけないし、書き足すこともないし・・・。
でも凄いね。
「世界が絶望的な状況にあること」と「世界に絶望すること」の違い。
人はどちらで生きていけるのか。
そもそも生きていけるのか。
突然、世界各地に「憑魔」と名付けられたモンスターが現れる。
どこから?わからない。
エイリアン?わからない。
もしかして未来から?わからない。
「憑魔」だけでもてこずるのに、その一帯は恐ろしげな樹木がニョキニョキと繁茂して全くの異界になってしまうのですね。
そこで、「憑魔」を殲滅しようとミサイルなどを撃ち込むと、たしかにそこの「憑魔」は壊滅しますが、今度は違う場所へ現れる。
なんとかたどり着いた有効な作戦は、「憑魔」が発生する一帯を隔離して「憑魔」を間引きすること。
大量にやっつけると他へ転移するので、通常兵器で毎日間引き。
間引きしないと、交配してどんどこ増えて隔離地区が拡がる恐れがある。
もちろん一体でも強力なモンスターだからして、間引きするのも命がけ。
間引きすれど「憑魔」の脅威が去ったわけでもなく、今日は生き延びても明日はわからない。
誰がその間引きする役目を担うのだ。
日本では自衛隊。
こうすることにより「憑魔」は隔離地帯以外では発生頻度が減ったがゼロではない。
なかには「憑魔」が人間に取り憑いて「同化」してしまうこともある。
こういう人は、強制的に隔離地帯へ送還し自衛隊へ放り込む。
死ぬまで「憑魔」と闘う運命。
人間に取り憑く「憑魔」は、男にはオス、女にはメス。
そして、男に取り憑いた「憑魔」はメスが近くにいると激しく反応し、さらにその部分の力が強化される。
右腕だけが取り憑かれたのなら、反応している間は右腕は「人間離れした」力を発揮する。
だが、いつかは「憑魔」に体ごと乗っ取られて「憑魔」になってしまうのでは、という恐れも・・・。
まだ1巻だけですが、傑作の予感が。
ストーリーは呆れるほどラノベそのもの。
だが、隔離戦区内のミクロの戦いを描いていても、「憑魔」により「世界」が疲弊し滅亡への道を辿っていくかのような絶望感は漂う。
おそらく経済も疲弊して、隔離戦区には充分な武器が供給できないでしょう。
隔離戦区内で戦う者はもちろん日々が命がけだが、その外部の者も明るい未来は決して来ない。
「憑魔」が消えるまで。いや、消えても・・・。
「世界が絶望的な状況にあること」と「世界に絶望すること」。
生駒陸曹長、楢崎二等陸曹、筒井一等陸士、羽生二等陸士、土岐二等陸士、宮沢二等陸士。
彼らを応援したくなるじゃないか。