『人獣細工』 小林 泰三
人獣細工
初版:1999年12月10日 (1997年6月に角川書店より刊行) |
「人獣細工」
「吸血狩り」
「本」
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これは拾いものでした。
この作者の初期短編集はタイトルがおどろおどろしくて引いてしまうのですが、読んでみればスプラッター要素はありません。
むしろ、レトロな感じ。
レトロが悪ければ昭和の香りか。
「人獣細工」
父親により、体のほとんどを移植された娘。
しかも、ブタの内臓を。
なぜそこまで執拗に手術をしたのか。
父親の死後、色々と探る娘。
体のほとんどがブタの臓器。
それでも私は人間なのか。
人間とブタの違いはなにか。
アイデンティティ探しは、もっと恐ろしく救いようのない結末を迎える・・・。
「吸血狩り」
8歳の夏、少年は初めて吸血鬼を見た。
その吸血鬼が15歳の従姉を毒牙にかけようとしているのを知り、いろいろと対策を練ります。
8歳でそんなに知っているのかよ、というくらいに。
でも。
本当に吸血鬼だったのか・・・。
それは読者には分からない。
「本」
これが3作中では白眉ですね。
小学校時代の同級生から送られてきた、得体の知れない本。
その本を読むと、「絶対芸術家」となってしまう。
「絶対芸術家」とはなにか。
妙にオドロオドロしく、妙に笑える。
面白さを伝えるのは私には無理ですので、機会があったら一読してください。
せめて、これくらいが最低レベルの本ばかり読んでいられれば幸せなのでしょうが、つまらない本を沢山読むことによってオモシロ本が余計に引き立つのかな~。