『夏化粧』 池上 永一 | たまらなく孤独で、熱い街

『夏化粧』 池上 永一

夏化粧 (文春文庫) 夏化粧
池上 永一
(文春文庫)
初版:2006年6月10日
(2002年10月に文藝春秋から刊行)  
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うーむ。
これはある意味池上版『ビート・オブ・ハート』?
子を救おうとする気持ちは、どの母親も同じなのですね。
子供をお荷物としか思ってない親にはぜひ読んでもらいたい。
 
南の島。
沖縄よりももっと南?
強力な呪力を持つ産婆により、産まれた赤ちゃんの姿が母親である津奈美にしか見えない。
そして、呪いを解くこともなく産婆は亡くなる・・・。
 
津奈美は、民俗学者の教えをもとに、井戸の神様から呪いを解く方法を教わる。
しかし、それは過酷な試練であった。
新月の夜に新しい井戸に飛び込み、光と闇が逆転した世界で、津奈美が赤ちゃんにかけた「願い」と同じ願いを受けた7人から「願い」を奪うこと。
失敗すれば自分も、もちろん赤ちゃんも死ぬ。
こうして、命をかけた母親の冒険が始まる。
 
この作者も初めてなのですが、とんでもない設定なのに妙にリアルを感じて津奈美を応援してしまいます。
子供のためとはいえ、他人の「願い」を奪う津奈美の悲しみ。
それに、そこはかとないユーモアもあり飽きさせません。