『蒸気駆動の少年』 ジョン・スラデック | たまらなく孤独で、熱い街

『蒸気駆動の少年』 ジョン・スラデック

蒸気駆動の少年 [奇想コレクション] (奇想コレクション) 蒸気駆動の少年
ジョン・スラデック
編:柳下毅一郎
(河出書房新社・奇想コレクション)
初版:2008年2月29日 
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「古カスタードの秘密」「超越のサンドイッチ」「ベストセラー」「アイオワ州ミルグローブの詩人たち」「最後のクジラバーガー」「ピストン式」「高速道路」「悪への鉄槌、またはパスカル・ビジネススクール求職情報」「月の消失に関する説明」「神々の宇宙靴―考古学はくつがえされた」「見えざる手によって」「密室」「息を切らして」「ゾイドたちの愛」「おつぎのこびと」「血とショウガパン」「不在の友に」「小熊座」「ホワイトハット」「蒸気駆動の少年」「教育用書籍の渡りに関する報告書」「おとんまたち全員集合!」「不安検出書(B式)」
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(お詫び)
今まで「スラディック」とばかり思ってましたが、「スラデック」なのですね。
失礼いたしました。
 
(前置き)
『見えないグリーン』というミステリはスラデックじゃなかったかな。
凶器にあ然/呆然/大笑いした記憶があるのだが。
 
(一応本文)
さて、そのスラデックの短編が23編。
パロディあり、スラップスティックあり、ミステリあり、ホラーっぽいのあり、ファンタジーは知らん、もちろんSFもあり。
スラップスティックを映像で(例えば「キートン」や初期の「トム&ジェリー」など)で見る分には字幕がなくても楽しめるものが多い。
だがそれを言葉で表現しようとしたらどうだろう。
ジェリーがトムの尻尾を斧や包丁で切断する。
「ぎゃおー」と飛び上がるトム。
だが、次の瞬間にはトムは元気にジェリーを追いかけている。
尻尾には包帯を巻いて。
アニメなら伝わる面白さが、文章では難しい。
ましてや切断された尻尾がどうしてくっついているかなんて説明するのも疲れる。
いや、スラデックがアニメを文章にしたというのでなく、スラデックの本当の面白さを知るには翻訳したものを読むよりは、直接原文を読まないとわからないのではないかと。
まあ、原文を読んだって分からないものは分からないと思いますが。
よく引き合いにだされるのが、「寅さん」を字幕や吹き替えで外国の方に見せても面白さが一部しか伝わらないということ。
 
それでも、楽しめるものはありました。
全然理解できないものもありました。
スラデックをまとめて読めて満足です。
 
さて翻訳文に目が慣れたところで「アレ」を読むか^^