『さよなら妖精』 米澤 穂信 | たまらなく孤独で、熱い街

『さよなら妖精』 米澤 穂信

さよなら妖精 (創元推理文庫) さよなら妖精
米澤 穂信
(創元推理文庫)
初版:2006年6月16日 
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最初はとっつき難かった。
また似たようなタイプの奴が主人公かよ、と。
でも、後半になって引き込まれました。
 
旧ユーゴスラヴィアは「一つの国、二つの文字、三つの宗教、四つの言語、五つの民族、六つの共和国」と言われるほど、多民族が集った国家でしたが、強い指導力と求心力を持ったチトー大統領の死後、多くの内戦を経て分裂しました。
そして、いままたコソヴォが。
 
平成3年、分裂前のユーゴから一人の女性が日本にやって来た。
マリア・ヨヴァノヴィチ(通称:マーヤ)、17歳。
迎えうつ日本勢は、語り手で主人公の守屋路行と太刀洗万智、文原竹彦、白河いずる、同じ高校に通う3年生である。
マーヤは父が大阪で仕事をする2ヶ月の間、守屋たちの住む街で父の知人宅にお世話になるはずだったが、その知人がすでに亡くなり途方に暮れているところを偶然通りかかった守屋と太刀洗に助けられる。
旅館を営んでいる白河の家に住み込みのバイトみたいにして滞在することになった。
 
マーヤは好奇心というか何事にもポジティブな印象。
さりげないマーヤの疑問が「日常の謎」みたいなのが笑える(もちろん解答は思いつきませんが)。
 
守屋の一人称がうざったく思いつつ読んでいたのだが、どこで反転したのだろう。
泣かせるじゃないか(実際は泣かないけど)。