『天使の歌声』 北川歩実 | たまらなく孤独で、熱い街

『天使の歌声』 北川歩実

天使の歌声 (創元推理文庫 M き 4-2) 天使の歌声
北川 歩実
(創元推理文庫)
初版:2007年7月27日 
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「警告」
「白髪の罠」
「絆の向こう側」
「父親の気持ち」
「隠れた構図」
「天使の歌声」
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注:ウイーン少年合唱団の話しではありません(笑)
 
なんか、表紙絵と「多重どんでん返し」という紹介文にだまされた気分だな。
1篇目を読んだときから感じた違和感。
それと、家族の愛憎を描いているためか、2時間サスペンスドラマのさわりを読んでるような気も。
 
探偵・嶺原克哉が関わった6つの事件。
調査依頼を受けて、その結果を依頼人に報告。
そのときには嶺原にも見えなかった「依頼事項」の奥にある「事件」の真相が、調査結果を踏まえて依頼人と話しをするなかで浮かび上がる。
しかし、しかしだよ。
嶺原が「こうじゃないか」と言った可能性の一つが事件の真相になってしまう。
証拠もなにもなく会話の中で事件の真相を言い当てるというのはどうよ。
これが強烈に違和感があったな。
どんでん返しだかなんだか知らんが、可能性の一つが真相であるならば、なんでもありになっちゃう。
 
あと、少年の目の前で少年の○○に向って「あなたは少年の△△ですね」と言っていいのかい?
少年に知らせるべきことなのか充分考慮する必要があるのに、そこは省略。
ならば少年がショックを受けてどういう行動をとったかも描けよ。
 
会話のなかで簡単に人を殺したと言ってるのも結構あったが、死体の処理等のことは無視。
それも重要なことじゃないのかい。
犯人にとっても探偵にとっても。
 
ああ、詰まらない本を読んだものだ。
これこそ「箸にも棒にも掛らない」ミステリだな。