『まだ見ぬ冬の悲しみも』 山本 弘
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まだ見ぬ冬の悲しみも
山本 弘 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション) |
- 「奥歯のスイッチを入れろ」
- 「バイオシップ・ハンター」
- 「メデューサの呪文」
- 「まだ見ぬ冬の悲しみも」
- 「シュレディンガーのチョコパフェ」
- 「闇からの衝動」
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- 書店でタイトルに惹かれて買いました。
- 過ぎ去りし夏の喜びも
- まだ見ぬ冬の悲しみも
- 時の碑(いしぶみ)に等しく刻まれ
- 永遠に摩滅することはない
- 18世紀だかの戯曲から取ったらしいタイトルですが、もしかして作者の創作かも。
- (無知ゆえに知らず)
- 短編が6作ですが、最初の「奥歯のスイッチを入れろ」にはあきれました。
- バイオロイド。
- 400倍に加速できるSSS(ソニック・スピード。ソルジャー)。
- エイトマン?
- 宇宙パイロットのタクヤは、事故により重傷を負いSSSとして甦る。
- 脳以外はすべて強力な作り物。
- 前半はタクヤの心情とリハビリ。
- ところが、敵対している巨大テロ組織もSSSを作って暗殺を実行。
- 400倍の速さで動かれては対処のしようがありませんな。
- 400倍で動けるということは、客観的には30秒でも本人の主観では3時間超?
- タクヤのいる研究所に敵方のSSSが襲ってきた。
- ところが、敵はタクヤの愛する人を盾に取り、衣服を傷つかないようにそ~っと剥ぎ取り(なぜ、そんな行為を?)、あとはお決まりのバトル。
- 新しい体に慣れていない上に、彼女を盾にされハンディキャップありありのなか、タクヤに勝機はあるのか?
- あとがきによると「マンガなどで使われている設定をリアルに書いたらどうなるか」らしいが、作者はそのつもりでも読まされる方はたまったものじゃないな。
- で、ここで本をぶん投げるところですが、表題作を読むまでは、と読みすすめる。
- 2編目の「バイオシップ・ハンター」は、宇宙に飛びだした地球人。
- さまざまな宇宙人がいますが、バイオテクノロジーで作られた宇宙船がケッサクですね。
- しかも、その宇宙船が・・・・・・。
- 3編目「メディーサの呪文」。
- 言葉が先鋭化して、人を殺すことができるのだろうか。
- しかもたった6行37単語で。
- 退化したようにみえて、実は物質文明から言語文明に「進化」した生命体・・・・・・。
- 表題作はタイムトラベルもの。
- ついに過去へのタイムトラベルが可能になった近未来。
- だがそこには、恐るべき陥穽が。
- 「シュレディンガーのチョコパフェ」は、話の都合上かいろいろな説明がでてきますな。
- で、ラストはお気楽としか思えないほどのハッピー・エンド。
- 溝呂木の怒りや絶望はどこ行ったんだ?
- 「闇からの衝動」は、C・L・ムーアやヘンリー・カットナーのファンなら必読?
- こう言ってはなんですが、山本弘の魅力はどこにあるのだろう。
- 少なくともこの短編集からは、それが分かりません。
- せめて1作、脳天直撃弾が欲しかった。