『盤上の敵』 北村薫 | たまらなく孤独で、熱い街

『盤上の敵』 北村薫

盤上の敵 (講談社文庫) 盤上の敵
北村 薫
(講談社文庫)
初版:2002年10月15日 
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なんとなく、北村薫とは“合わないな”と思ってました。

SF風なら読んでみようかと思い、『スキップ や『ターン を読んだとき、その思いをさらに強くした。

二冊とも、けっこう面白く読みましたが。

ここらへんは好みになりますか。

 

なら、なんでこれを読んだのか?

書店で何気なく手に取って裏を見たら「誰もが驚く北村マジック!!」と書いてあるではありませんか。

このキャッチコピーに捕まりました。

単純なので^^

時間があれば解説は誰かなと確認し、光原百合なので買わなかったでしょうが。

光原百合さんもたぶん“合わない”でしょうから。

 

いや、“日常の謎”ミステリが嫌いなわけではないですよ。

"日常の謎”で括られるミステリも結構読んでいますし。

本を手に取って買う買わないは、よほど好きな作者か題材でなければ、その時の気分かなんとなくですよね。

たまたま買って、猛烈にはまってしまった作者(例えば浦賀和宏)もいれば、一冊だけ読んで面白くなかったので(あるいは、面白かったけど)二冊目は読もうという気にならない作者もいますし。

さらに、当然読むつもりで買ったのに、読んでない本もあるし、こうなるとどうしようもないですな^^

 

TVのディレクターが帰宅しようとしたら、なんと!家に殺傷事件の容疑者が立て篭もっているという!

妻を助けたいディレクターは、警察を出し抜いて犯人と接触しようと、とんでもない計画を実行しようとする。

とんでもない計画がどの程度のものかは読んでいただくとして(笑)、いささかリアリティに欠けるような。

ま、リアリティばかり考えていたら小説は書けないわけで、その辺りの落としどころが難しいところですね。

リアリティがないのが、話の中で進行する回想ですが、これほどの悪意の存在がありうるのか。

これほどの悪意が内在している人・・・・すでに人間ではないですね。

まるで何かにとり憑かれたよう。

考えたら、「悪意」も「愛」も相手のことを思うだけで胸が痛くなるところや反転しやすいところは、似たようなものですか。