『天使が開けた密室』 谷原秋桜子 | たまらなく孤独で、熱い街

『天使が開けた密室』 谷原秋桜子

天使が開けた密室 (創元推理文庫) 天使が開けた密室
谷原 秋桜子
(創元推理文庫)
初版:2006年11月24日 
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「天使が開けた密室」
「たった、29分の誘拐」(短編)
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たいてい、話に溶け込むまでには、結構読み進めないといけないのですが、これはなんていうかス~っと入れましたね。
実に読みやすい。
読みやすく書くというのも、たいした技術だと思います。
当初は富士見ミステリー文庫に収録されていたのですが、このたび創元推理文庫から上梓されました。
こういう本を拾い上げてくれるから、東京創元社はいいですね。
SFにも期待してまっせ。
 
倉西美波は高校の1年生。
カメラマンの父が5年前にスペインに行ったまま行方不明のため、バイトをしてお金を溜めてスペインに探しに行こうと思っている。
ところが、バイト先のコンビニで変な女に関わったばかりに、その女が持っていた高価な皿が割れてしまい、60万も弁償するハメに。
父の捜索どころか借金を作ってしまった美波だったが、となりに住む藤代修矢という大学生の友人の野々垣武志が、家で寝ているだけで1晩5千円になるバイトの話しを持ってきた。
早速飛びついた美波だったが、そのバイトとは。
近くの病院と契約している葬儀社があり、病室で亡くなった人がでたら葬儀社から連絡が来て、病院へ駆けつけ病室から霊安室まで遺体をストレッチャーで運ぶ!
その場合はプラス3千円。
 
キャラは極端です。
立花直海という美波の同級生は超美貌ながら、口をひらくとちゃきちゃきの江戸弁。
イメージが湧かない(^^
西遠寺かのこも美波の同級で、こちらのお方は旧華族の出で、行動も話し方もとてもおしとやか。
美波が一番平凡だが、この3人がとても仲良し。
となりの藤代修矢が引っ越してきたときに、「思い出すのも恥ずかしい」事件があり、美波は修矢と口をきくのもイヤ。
武熊こと野々垣武志はしょちゅうインドへ行ってて留年を繰り返している。
 
話しに無理がないのか、スイスイ読めてしまうのだが、後半に殺人事件が発生します。
それも霊安室で。
しかも、疑いが美波に。
仲良しの直海とかのこは必死で美波の冤罪を晴らそうとしますが、なんと事件を解決したのは生活力がありそうもなく頼りがいもなさそうな○○。
美波も見直して、ちょっとは「ほ」の字かな?