『悪夢探偵』 塚本晋也 | たまらなく孤独で、熱い街

『悪夢探偵』 塚本晋也

悪夢探偵 (角川文庫) 悪夢探偵
塚本 晋也
(角川文庫)
初版:2006年12月25日 
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塚本晋也さんが映画監督というのは知っていますが、残念ながら映画を見たことはありません。
書店でぼけ~と適当な本を探していたら、タイトルが目を惹いたので。
こういうことはアマゾンでは無理ですね。
アマゾンでもオススメ本をリストアップしてくれてますが、意外な作者の意外な本を発見したことはありません。
 
書店で悩んだこともある。
かつては読みたかったが、なかなか見つからなかった某海外SF本。
やっと発見したが、果たしてこれを読めるのだろうか?買っても積読ではないか?と思い、断念。
以前の私なら迷わず買ったのに、この心境の変化はなんだ?
 
他人の夢に潜ることができる男、影沼京一。
だが、徒手空拳で他人の夢(特に悪夢)に潜っても解決できることはない。
むしろ、自分が危険な目やイヤなことに遭うばかり。
その行為は、精神を病み、命を縮めることか。
夢に入る時、京一は水中を落ちていく感覚。
どこまでもどこまでも。
水中だから服を着ていると行動しにくいので、夢に入る前に裸になり雨合羽を着る。
どこまでも落ちていく時、京一は「もう戻れない、もう戻れなくてもいい」とすら思ってしまう。
こんなことも、京一の精神に影響を及ぼしてしまう。
 
警察庁のキャリアとして数々の業績を残してきた霧島慶子は、自ら進んで警視庁刑事部への転籍を希望し、着任したその日に少女の死体発見により夜中に呼び出される。
次の夜は中年男性の死体。
二人とも状況はどうみても自殺。
だが、二人の携帯には同じ「0」に発信.した履歴があった。
他にも共通項が・・・・・・。
 
若い刑事の若宮が「0」に電話をしたとの連絡を受けた慶子は、若宮の身に危険を感じ京一に警視庁に来て若宮の夢に潜ってくれるよう依頼。
いやいやながら来庁し、若宮の夢に潜る京一だったが・・・・・・。
 
サイコスリラー風でもありますが、テンポ良く進みますね。
京一が見た悪夢とはなにか?
思い出したくない過去に捕われた「0」と京一。
 
ラスト。
慶子が言う。
「周りの人とすぐにぶつかってしまうから。人の気持ちが分からないっていうか。あなたみたいに人の心の中に入っていければいいんだけど」
京一が言う。
「入っていっても、見るものはいやなものばかりです」
それに対しての慶子のセリフが泣かせます。
「そうかな。私は、そうは思わないです。私はそうは思わないです、絶対に」
 
ぜひ、続編をお願いします、塚本監督♪