『塩の街』 有川浩 | たまらなく孤独で、熱い街

『塩の街』 有川浩

塩の街―wish on my precious (電撃文庫) 塩の街―wish on my precious
有川 浩
(メディアワークス・電撃文庫)
初版:2004年2月25日 
Amazonで詳しく見る by G-Tools
 
ある日の朝、羽田空港沖の埋め立て用地に巨大隕石落下。
高さが500メートルにも及ぶ「塩」の柱。
程度の大小はあれ、日本各地にも、世界中にも。
そして、その日東京だけでも500万~600万もの人々が塩と化して死亡。
塩害と呼ばれる。
塩害で亡くなる人は、その後も増え続ける。
小笠原真奈は暴漢に襲われたところを秋庭に助けられ、なんとなく秋庭の庇護のもと一緒に暮らしている。
 
東京だけでも500万人も亡くなれば、未曽有の大災害です。
ほとんどの経済活動(モノを作る、運ぶ、売る)などは壊滅状態ですね。
東京で大地震が起きたのなら、他の地域は無事なので救援にも行けるでしょうが、日本中世界中が同じ状態では、救援は不可能ですね。
それなのに、大火災も大事故もなく、電気ガス水道などは無事。
食料品、生活用品などは配給されてる。
 
ありえねー。
 
ガソリンがないんだろ。
車は一台も走ってないんだろ。
誰が電気やガスの面倒をみてるの?
偶然無事故で運転されて、送電線も無事なの?
物資はあったとしても、誰がどうやって配給所まで運ぶんだ。
残った500万人へ配給するなんて、並大抵のことじゃないし。
 
 
真奈は思う。
>だから、秋葉さんに会うためにこんな世界になったんだったら、それがどんなひどい世界でも許容してみせる。
 
はあ?
都合よくライフラインが無事で、食料や生活用品が配給されてるからこそ言えるのだよね。
食料も水もろくになく、電気もガスもなく、寝るところもなく、外にはどんな奴がいるのかわからない。
そんな世界で、自分一人が生きるのさえ大変な世界になってたとしても、「恋」のためなら、秋庭に会えたのなら、マシですか。
そうですか。
 
個人的な恋が当事者を救い、そのおこぼれで世界も救われるわけですね。
見事です。
開いた口が塞がりませんでした。