『ハゲ・デブ殺人事件』 つかこうへい
ハゲ・デブ殺人事件 | |
つか こうへい (角川文庫) 初版:1985年8月10日 |
一時期、つかこうへいの文庫本をやたらと読んだな~。
小林信彦とともに、たくさん出してくれた角川文庫にはお世話になりました。
ハゲとデブは、本人にも周りにもわかりやすいコンプレックスですね。
明るくふるまうと「デブが無理してる」
暗く考えごとでもしようものなら「ハゲが卑屈になってる」
ですか。
ハゲとデブのネタが炸裂します。
が。
そればかりではなかった。
最初は「つか」の分身の「つか田」が無茶苦茶やってハメをはずすだけかと思ってましたが、後半に全学連のデモがでてきて、
「学生は卒業すれば就職が決まれば、反体制側から体制側にコロッと寝がえるが、機動隊はいつまでも機動隊」という名言が。
機動隊の男と、全学連の女の間に生まれた子。
母はデモのさ中に機動隊に殴られて死に、父もまたデモで頭に障害を負い、復帰は無理。
でも、父の頭の中はデモに復帰することばかり。
70年安保が無理なら、80年安保。
それも無理なら90年安保。
私を待っている全学連のやつ等がいるから。
それのみが父の生きるよすが。
だけど、全学連なんてもういない。
彼らは体制側に寝返って、当時のことなんて知らないふり。
絶望のなかで死んだ父が不憫でしょう。
息子のとるべき道は復讐しかなかったのか。
デモ盛んな頃、芝居をやっていてノンポリと蔑まれたつかこうへいの「思い」も込められているのか。
全学連、安保が風化する中、この本も風化していまうのは、あまりに惜しいですね。
ところで、
表紙の絵を探そうと、アマゾンのアフィリエイトで探したら、本はあったが絵はなし。
しかし、アメーバのアフィリエイトで検索したら、本自体が見つからないってどういうこと?