『月光とアムネジア』 牧野修 | たまらなく孤独で、熱い街

『月光とアムネジア』 牧野修

月光とアムネジア (ハヤカワ文庫JA) 月光とアムネジア
牧野 修
(ハヤカワ文庫JA)
初版:2006年8月15日 
Amazonで詳しく見る by G-Tools
 
突如として異空間があらわれ、その中では通常あり得ないことが起こる。
というのは、SFでよくあるパターンですね。
そこをどう料理するのかが、作者の腕の見せ所。
 
ここでは「レーテ」と呼ばれている異空間。
その中に入ると、3時間ごとに記憶がリセットされ、脱出したあとも重い認知障害を引き起こす。
解説によると牧野修は「言語」と「妄想」、この二つのキーワードについて書き続けているらしい。
ならば、この題材はぴったりかも。
過去60年殺しを続けてきた殺人者「月光夜」が「レーテ」に入り込んだ。
しかし誰も顔を知らない。
彼を捕まえるために、過去に「レーテ」につかまり脱出できた(救出された)兵士や警官が集められ、「レーテ」に入る。
月光夜は見つけられるのか、繰り返されるリセットに耐えられるのか。
それに月光夜もリセットにどう対応するのか。
 
うまく題材を料理していると思いますが、「レーテ」の中だけに棲息する動物は「レーテ」が消えたらどうなるのでしょうね。
「レーテ」と共に消え、「レーテ」と共に現れるのか。