『異星の人』 田中光二 | たまらなく孤独で、熱い街

『異星の人』 田中光二

異星の人 田中 光二
異星の人
 
 
 
 
 
SFで田中といえば、田中光二も忘れてはいけませんね。
今は架空戦記ものを量産しているみたいですが。
 
この本は手元にないので、かすかな印象だけで書きます。
主人公は、ジョン・エナリー。
エナリーは「えなりかずき」ではなく、ENARIと書くのです。
そう、エイリアンのアナグラムですね。
映画の「エイリアン」が公開される前は、地球外からの訪問者、くらいの意味で使われてたような。
エナリーは地球や地球人を観察に来たのですね。
いろいろな方と出会い、地球人の矛盾などを知る、連作短編です。
 
なかでも白眉は、雪男(=異星の流刑者)との会話。
長命種族である彼らにとって孤独であることは、我々が想像する以上に厳しいものと思われる。
雪男(流刑者)はエナリーに言う。
「彼ら(地球人)に、私の、我々の孤独は決して理解できない」
エナリーもまた流刑者のように孤独であったのか。
しかし、
「いや、彼ら(地球人)こそ、宇宙のなんたるかも、自分たちの使命すらも知らず死んでいく彼ら(地球人)こそが孤独なのだ」
多少(かなり?)セリフは違うかもしれませんが、ズキッときました。
 
機会があったら読んで欲しいと思います。
上質な日本SFが、ここにあります。
 
追記)
タイトルを間違えていて、お恥ずかしい・・・・・・