『ぼくらは虚空に夜を視る』 上遠野浩平 | たまらなく孤独で、熱い街

『ぼくらは虚空に夜を視る』 上遠野浩平

上遠野 浩平
ぼくらは虚空に夜を視る
(徳間デュアル文庫)
初版:2000年8月31日
 
まず、「上遠野」ってどう読むと思いますか?
私は「うえとおの」かと思ってましたが、「かどの」だそうです。
大変失礼をいたしておりました。
書店で『疾走!千マイル急行(上)』を探していたら目に留まったのですが、タイトルが目を惹いていいですねえ。
たとえば漢字二文字のタイトルだと印象が薄いですが、これは印象に残ります。
かく言う私も創作のタイトルには凝りたい方でして、ただタイトルを盗作しているのは我ながらいただけませんが(汗)。
ちなみに『花泥棒に行きましたね』の続編で『月は無慈悲な夜の女王』ってのもあるんです(笑)。
さて、上遠野浩平ってたしかSF作家だったよなー、というおぼろげなイメージとタイトルだけで購入してしまいましたが、とりあえず読んでみました。
 
主人公は高校生の工藤兵吾。
ヒロインは工藤の幼なじみ、槙村聡美。
ライトノベルでは、ヒロインが主人公の幼なじみってパターンが多いような気もしますが、気のせいですかね(そんなに読んでる訳でもないし)。
今回ヒロインは活躍しません。
教室ではいささか仲間はずれにされているっぽい平凡な高校生の工藤だが、実は人類の存亡に関わる重要な役目を担っていた!
 
ジャジャーン。
 
人類は「約束の地」をめざし宇宙を旅していたが、「虚空牙」という「敵」と戦闘するハメになり、その戦闘員の予備が工藤であった。
しかも、とっても優秀。
しかしながら宇宙での孤独、空虚な戦闘は戦闘員の精神をおかしくしてしまうため、正気を保つために安定している擬似世界を戦闘員に提供する必要があった。
その他大勢の人類はどうしているかというと、コールドスリープや単なる情報として存在しているが、戦闘員の擬似世界に付き合うために、擬似世界で生活をしている。
そう、その擬似世界こそ、我々が住む地球なのだ!
つまり本当の我々は巨大宇宙船で眠っていて、地球で生活している夢を見せられているのだ!
夢を見ているといっても、夢で死ねば本体も死にます。
 
実は「虚空牙」は人類をはるかに超越した存在であり、とりあえず人類を救った工藤だが、まだまだ試練が待っているに違いない。
「虚空牙」の正体は?
工藤と槙村のロマンは?
待たれよ、続編を。
あ~~ついでに続編も買っておけばよかった(涙)。
 
P.S.
あくまでも「人類」VS「虚空牙」シリーズ?
あと2作あるようですが、登場人物は替わっているようです。
いずれにせよ、読むのが楽しみです。
 
『わたしは虚夢を月に聴く』
 
『あなたは虚人と星に舞う』