『クロノス・ジョウンターの伝説』 梶尾真治 | たまらなく孤独で、熱い街

『クロノス・ジョウンターの伝説』 梶尾真治

クロノス・ジョウンターの伝説 梶尾 真治
クロノス・ジョウンターの伝説
(ソノラマ文庫)
初版:2003年6月30日
 
 
 
 
「吹原和彦の軌跡」
「布川輝良の軌跡」
「〈外伝〉朋恵の夢想時間」
「鈴谷樹里の軌跡」
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ああ、なんという儚さ。
おお、なんという美しさ。
時間をテーマにしたSFにはジーンとくるものが多い気がします。
「時」それ自体が手を触れることができない性質のためか。
 
クロノス・ジョウンターという機械がある。
「物質過去射出機」だそうな。
クロノスとは、時を司る神。
ジョウンターはアルフレッド・ベスターの『虎よ、虎よ!』より。
ある一定時間、物質を過去へ送る機械。
 
しかし、人間を送るとその反動で、過去から戻る時は過去へ遡行した長さに応じて、より遠くの未来へ弾き飛ばされてしまう!
5年遡れば、30年未来へ。
最初の地点へは戻れない。
 
それでも、何故君は過去へ行く。
愛する人を助けるために?
その人を助けたとしても再び会えることは決してないというのに。
 
泣けました。
特に最初の『吹原和彦の軌跡』は衝撃的でしたね。
私も、まだまだSFにウブだったようです。
いや、SFというよりも、ラブストーリーにウブだったかな(苦笑)。
 
そういえば『この胸いっぱいの愛を』というくさいタイトルで映画化されたようです。
参考までに。
「鈴谷樹里の軌跡」で『たんぽぽ娘』が少しでてきます。
参考までに。