『ゴルディアスの結び目』 小松左京 | たまらなく孤独で、熱い街

『ゴルディアスの結び目』 小松左京

ゴルディアスの結び目 小松 左京
ゴルディアスの結び目
(角川文庫)
初版:1980年7月10日
 
 
 
「岬にて」
「ゴルディアスの結び目」
「すぺるむ・さぴえんすの冒険」
「あなろぐ・らぶ」
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決して解きほぐすことのできない“心の闇”。


その前に「ゴルディアスの結び目」とは何かというと・・・。

たまたまある国を牛車で通りかかったゴルディアスは、その国の神官の神託により王様になってしまった。

自分を王にしてくれた神様に感謝の意を表すべく、その牛車を神殿に奉納することにしました。

特殊な結び方で。
これが有名な「ゴルディアスの結び目」だそうです。
この結び目は誰にも解くことができませんでしたが、アレキサンダー大王がこの国にやってきた時に、大王は剣を抜くなり、その結び目を一刀両断にしました。
やがてアレキサンダー大王の軍勢はインドにまで達し、アジアの支配者になった。


誰にも解きほぐせない“心の闇”を「ゴルディアスの結び目」になぞらえたのですね。

性悪な男にだまされ、強力な麻薬を打たれ、犯されたとき、少女に“憑き物”がついたのか。

少女の精神は回復不能にまで病み、それとともに身体にも変貌が。

少女の回りでさまざまな超常現象が起き、有能な“サイコ・エクスプローラー”が呼ばれ、少女の心に入り、調査をすることとなった。

“憑き物”はどこから来るのか?

少女の下意識にある「はげしい情念のむすぼれ」が超空間に穴を開け、そこから現れるのか?

ついに“サイコ・エクスプローラー”は少女の意識を探索する過程で、時間が永遠にとどまる「エルゴ領域」を超え、「事象の地平線」を超え、「シュワルツシルド半径内」にはいりこんだ。

つまり、少女の内部に現れた「ブラックホール」に捕われた!

そして、少女のいる部屋は内部の1点に収縮されてゆく。


“心の闇”とブラックホールを結びつけた力技が凄い。