奇跡(きせき) | 二文字熟語

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漢字の中には、その文字を超越した深い意味思いが込められていることが多くあります。日頃何気なく読んでいる数々の言葉の中に、脈々と流れている日本精神を読みとろうと努めてみませんか。とても、興味深い事実に気がつくはずです。


 今日は、奇跡(きせき)という言葉です。

 朝起きると、先ず行うのは仏壇の水を代え、親の遺影に手を合わせるのが私のルーティンです。私の母親は大正5年生まれ。69歳の時になくなりましたので、もう28年前になりますか・・。母親に関する話はいろいろ覚えていますが、一番記憶にあるのは、7人の子供を養うのに行き詰って、橋の袂で、自殺を思いつめていた時に、ある人に声をかけられたという話です。どんな励ましを受けたのかは知りませんが、我に返った母は、そこからまた踏ん張って、女の細腕で生き抜いて子供を育てあげた。そんな事があったようです。今の少子化社会の中で、1人、2人を育て上げるのとは訳が違い、今から50年以上前の貧しかった日本で、7人の子供を育て上げる苦労は、想像を絶するものがあったと思います。今との比較では、奇跡(きせき)的ですね。

 さて、奇跡(きせき)です。奇(き)とは、普通と違っている、ふしぎ、思いがけないetc.の意味となります。跡(せき)とは、あと、あしあと、ものごとの行われたあとかたetc.の意味となります。奇跡(きせき)とは、思いがけない不思議な出来事の痕跡、という意味になりますか。人間は、時には人間ワザではない力を発揮するといいます。大勢の子を育て上げることも、ある種の奇跡の力なのかもしれません。


 人の心の中にある仏心。いたわる心、争わない心、利他の心。人の世で、奇跡(きせき)は、いつでも起こりうるものかもしれません。また、奇跡を起こすのは、何か不思議な力ではなく、私たち自身かもしれません。私達の心の中に宿る、仏心に意識を向けてみましょう。