士魂魔道 大龍巻
¥4,252

今日の映画は「士魂魔道 大龍巻」(1964年)。監督は時代劇のガッキーこと、稲垣浩……って、彼女が生まれる前に他界してたか。いかにも怪しいDVDのジャケットに惹かれていたものの、怪しいが故に購入を躊躇したDVDの1つである。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道01
映画の舞台は大阪夏の陣、落城間近の天守閣の裏で切腹をしようとしていた若武者、深見重兵衛(市川染五郎)が主人公だ。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道03
重兵衛は、幼い若君(秀頼の遺児の国松君)を連れて大坂城を脱出しようとした侍女の小里を救い、難民たちに混じって逃げ延びる。小里役はもちろん、星由里子。結局、当時はこのDVDを買わずに岡本喜八の「戦国野郎」を買ったのだが、どっちを買っても星由里子が出てるわけで、時代劇が見たかったのか星由里子目当てだったのか……。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道02
前半は戦乱に敗れた者たちの悲しくも逞しい生き方が描かれる。奥野久之助(夏木陽介)は町の物売り商人として商才を発揮する。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道04
小里の姉である腰元の菊里(久我美子)は落城の際に暴行された挙げ句、娼婦に身を落とす。草薙修理(佐藤允)も辻斬りとなってしまった。豊臣家再建の名目で金をせしめようとする逞しい人間たちと対比させるかのように、2人の再会シーンが描かれる。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道05
重兵衛に父親を殺されて復讐しようとする甲賀忍者の織江(水野久美)だが、重兵衛に惚れてしまい、いつのまにか彼に力を貸す側に回り、「どちらが彼に選ばれるか」と、小里に争奪戦を挑む。私が重兵衛なら、星由里子と水野久美、どちらにも選ばれたいんだけど……。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道06
小里のおばの秀月尼(草笛光子)も戦乱に恋仲を引き裂かれた経験を持つ。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道07
その秀月尼の相手というのが、小里たちを道中、何度か敵から救ってくれた虚無僧。その正体は武将、明石守重であった。三船敏郎が出てくると、映画が何となくシャキっとするから不思議である。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道08
徳川の御用金奪取や仲間割れに加え、主人公たちは捕まり木に縛り付けられる。さあどうなる、というタイミングで、いよいよ大竜巻。ここは特殊技術監督として名を連ねている円谷英二の独壇場である。映画の冒頭は大坂城のミニチュアや大広間の炎上などを見せるが、竜巻シーンでは農家がこんな感じで吹き飛ばされていく。今見ると他愛のないシーンかもしれないが、45年前の映画である。観客も圧倒されたであろう。


kazzpの音楽&映画-士魂魔道09
画面右側のように、人馬もろとも竜巻に吹き飛ばされる。善も悪も、勝った側も負けた側も、醜い感情も金も、悲しい運命も、すべて竜巻が吹き飛ばしてしまうという、ガッキー監督らしい(まだ言ってる)演出の、実に大胆なエンディングである。