kazzpの音楽&映画-SALVADOR05
前回紹介した「プラトーン」と同じ年にオリバー・ストーン監督が撮ったのが「サルバドル/遥かなる日々」(1986年)だ。スタッフもほぼ同じ。ジョルジュ・ドリュリューは「プラトーン」とは違ってこちらでは緊迫感のある音楽を聴かせる。

kazzpの音楽&映画-SALVADOR01
冒頭、主人公であるフォト・ジャーナリストのボイル(ジェームズ・ウッズ)のサンフランシスコでの生活が描かれる。仕事はない、酒とドラッグに溺れ、車に乗れば免許証不所持、妻は愛想をつかし小さな子供を連れて出て行く。留置所から出してくれた友人のドクター・ロック(ジェームズ・ベルーシ)と2人で、ちょっとしたノリで金を稼いで楽しく暮らそう、とエルサルバドルまでの旅に出るが、軍事政権下のエルサルバドルでさっそく容赦ない虐殺を目の当たりにし、彼らも殺されかける。オスカーの候補となったウッズも熱演だが、ベルーシもリアルな人物を演じていて素晴らしい。

kazzpの音楽&映画-SALVADOR02
ボイルは「死の分隊」と呼ばれる軍隊側にうまく取り入るが、一方で恋人マリア(エルペディア・カリロ)と再会し、軍隊に抑圧される民衆や左翼ゲリラの立場をも知る。映画はまた、軍事政府を支援するアメリカも痛烈に批判する。マリアを連れての国外脱出がこの映画のラストを飾るエピソードとなる。

kazzpの音楽&映画-SALVADOR03
ジョン(ジョン・サベージ)は真摯な姿勢のフォト・ジャーナリスト。人に会うと金をせびり、ウソもつき、生活態度は乱れ、決して好人物とは言えないボイルとは対照的な人物だ。映画の前半の主人公は、お調子者でいい加減で、とても共感できないが、ジョンと共に行動し生死の境を経験しながら徐々にジャーナリストとしての本能を呼び覚まされる。このボイル、実在するジャーナリストであるが、DVDの付録のインタビューに登場する実物のボイル氏には「なるほど、映画のとおりだ」と思わせるものがある。

kazzpの音楽&映画-SALVADOR04
死体の山。ストーン監督はこういうのは徹底して撮るなあ。DVDには大佐がボイルたちを酒と娼婦サービスで接待するシーンなど未公開のシーンが収録されているが、中には「なぜカットしたんだろう」というものもあった。

サルバドル 遥かなる日々 特別編 (初回限定生産)
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