広く「サスペンスもの」と括れば話は別だが、純然たる推理もの、ミステリー映画ってアガサ・クリスティ原作の映画化などが思い浮かぶ程度で、なかなかないものである。多少のアクションシーンやロマンスなども取り入れないと映画として成り立ちにくいジャンルだからであろうか。


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というわけで、今日は謎解きミステリー、「シーラ号の謎」(1973年)を取り上げたい。監督・製作はハーバート・ロス。脚本はミュージカルの作曲家(?)、スティーヴン・ソンドハイムと、「サイコ」で有名な俳優アンソニー・パーキンスの共作というのがユニークだ。


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豪華ヨット“シーラ号”でのツアーのため、カンヌの港に、脚本家や俳優、映画監督など6人が招待される。互いに顔見知りだ。


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彼らを招待したのは、ハリウッドの映画プロデューサーであるグリーン(ジェームズ・コバーン)。妻を轢き逃げで殺されたグリーンは招待者の中に真犯人がいると確信し、彼らそれぞれの秘密を暴露したカードを手渡した上、犯人を追いつめるさまざまなゲームを始める。


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金持ちの妻(ジョーン・ハケット)と共に招待されたシナリオ作家にリチャード・ベンジャミン。


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ちょっとだけビキニ・シーンも披露する女優のラクエル・ウェルチ。


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セクシーかつお茶目な芸能マネージャーにダイアン・キャノン。


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ややくたびれた老監督にジェームス・メイソンなど、豪華な出演陣である。


映画の前半は、主人公のジェームス・コバーンが練りに練ったゲームに6人が翻弄され、真犯人以外の人間も心理的に追いつめられるが、なんと途中でコバーンは殺されてしまう。残された招待者で謎解きが始まるのだが、ここから先はさらに犠牲者が出たりどんでん返しが用意されている。が、きちんと伏線が用意され観る側も納得できる展開だ。


ただ、この映画はあまり知られていないようで、私も高校時代にパンフレットだけ持っていながら、DVDが発売されるまで見る機会がなかったほどである。まあマイナーなのも頷けるような70年代らしい一作である。