出雲蕎麦 そば岡本@島根県松江市 |   + Mother Lake +

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 帰省2日目のお昼、やっぱり蕎麦ははずせませんな。
 10月初めといえばまだ蕎麦の花が咲き誇っている頃で新蕎麦の季節には少し早いですね。
 島根県といえば出雲蕎麦が有名ですが、本場は出雲市ではなく松江市です。
 出雲大社参拝と名物出雲蕎麦の組み合わせのわかりやすさと、やはり出雲=出雲市だからでしょうか??
 出雲蕎麦の発祥を知れば松江が本場というのも納得できるはずですよ。


 出雲国松江藩は、豊臣秀吉の家臣堀尾吉晴公によって内陸の富田から宍道湖岸の松江にお城が移されてできました。
 世継ぎ問題で堀尾家は3代で断絶、あと引き継いだ京極家も同じく世継ぎがなく断絶。
 代わって信州松本から徳川家康の孫である松平直政公が松江藩主として移封されました。


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 直政公といえば国宝松本城に辰巳付櫓と月見櫓を増築...

 失礼しました。私、お城マニアはつい...ゴホゴホ。
 直政公が移封されたときに本場信州松本から蕎麦と蕎麦職人を連れてきたのが出雲蕎麦の始まりといわれています。


 蕎麦の実は信州に気候が似た冷涼な奥出雲の山間で栽培され、松江城下でいわゆる蕎麦にされたというわけ。

 七代藩主で茶人としても知られる不昧(治郷)公は、参勤交代の江戸で夜な夜な蕎麦を食べに屋敷を抜け出したいう落語もあるほどです。


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 出雲にも名店はありますが、やはり出雲蕎麦の本場は松江ですな。
 私のお気に入りの名店、神代そばさん、中国山地蕎麦工房ふなつさんなどがありますが、北堀にある「そば岡本」さんです。
 松江城に近く、武家屋敷やへるん旧居にも程近い松江市北堀町。松江でもっとも観光客が多いところの少し外れ。
 お堀端から一方通行の古くからの商店街を入ったところにお店はあります。
 通りは南行き一方通行のため回り道...途中小泉八雲の怪談の舞台普門院前を通過。
 確かこのあたりに梅さんの実家があるはずですが、梅さんの実家って堀川めぐりの船上からしか位置がわかりません。爆


 さてさて、そばの岡本さんに到着。私はこのお店はじめてなのですがとても懐かしい場所です。
 亡くなった母は、晩年の10年ほどの間この界隈で暮らしていました。
 母のところに行くには必ずこのお店の前を通ります。徒歩数10秒というか数10歩。笑
 母も生前何度かおじゃましたようで、このお店の評判はよく聞いておりました。
 亡くなってから3年あまり、あれから初めてこの界隈にやってきました。


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 「そば岡本」。この暖簾がなければ素通りする方もいることでしょう。ほぼ民家みたいな店構えです。
 玄関を入ると....やっぱりまるっきり民家です。目の前にある階段なんて民家そのものですな。
 玄関左手が厨房...というよりもほぼ台所。笑
 玄関右手が客席...というよりも二間続きの和室、座敷と表の間。笑
 松江市やその周辺では、慶弔事は自宅で行うことが多いのです。
 また親戚や隣近所の付き合いも濃密で大人数が一同に会せる二間続きの和室が必須。
 大手ハウスメーカーやよほど洋風の家でもない限りは、大抵の家が和室二間続きになっています。


 私たち2人以外には2組ほどの客で閑散としていますが、このあと5人ほどの予約があるようです。
 奥さんが注文を聞きに来られましたが...と同時に湯のみとやかんに入った蕎麦湯。
 初めから蕎麦湯とはめずらしいですな。お茶代わりなのだそうです。
 出雲蕎麦なので当然割り子を注文、私は5枚、嫁は3枚。
 しかし、この蕎麦湯とろとろですな。まるで大量の蕎麦粉を入れたかのよう、非常に私好みです。
 これはお蕎麦も期待できそうですな。


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 お蕎麦の出来上がりを待っている間にもひっきりなしにお客さんが入ってきます。
 しかし、奥さんは丁重にお断りされてます。
 「もう、蕎麦がありませんでねぇ。今から打っても40分、待ってごしなさあかね。」
 いやいや、すごくラッキーでしたね。私らが最後みたいです。
 それもそのはず、以前寺町にあった160年続いた「松本蕎麦店」さんに暖簾分けをされたという岡本さん、知る人ぞ知る名店なのです。


 神代そばさん、一色庵さんといった名店ひしめくこの界隈ですが、やはり人気があるようですね。
 私のお気に入り、神代そばさんは以前は裁判所横にありました。

 現在は塩見縄手のへるん旧居のすぐ近くに移転...なおいっそう混んでるでしょうね。


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 さてさて、割り子蕎麦でてきました!!

 出雲蕎麦特有の黒っぽい挽きぐるみのお蕎麦、ですがこちらのお蕎麦は粒が目立ちませんね。
 出雲蕎麦としては非常に上品な感じです。薬味は鰹節とねぎ、海苔それに大根おろしがたっぷり。
 割り子蕎麦は好みでこれら薬味をのせて、つゆを注いでいただきます。
 椀子蕎麦と間違えられることがありますが、あんなふうにひと口で食べられるものではありません。笑
 
 蕎麦はやや太め、茹で加減もやや硬めのお蕎麦です。
 太めで硬めは私の好み、お江戸の蕎麦ツウならつるつるっと喉越しよく手繰りこむのが粋なんでしょう。
 出雲蕎麦は太くて固めのお蕎麦をよく噛み締めて、蕎麦自体から滲み出る強い香りや味わいを楽しむのです。
 これは細くて、一番粉を使う蕎麦では無理ですな。


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 しかし、蕎麦つゆは結構辛い。あ、私は辛い蕎麦つゆ好きなんですよ。
 当地の蕎麦つゆは甘いのが多いのでいつもの調子で注いだらこれが辛い辛い。
 ごくごく少量の蕎麦つゆを注げば十分です。そのほうが蕎麦自体の香りや味わいも存分に楽しめます。
 ひょっとして、そこまで考えられてこの蕎麦つゆの味なんでしょうか??


 ケンミンショーでもやってたような気がしますが、割り子は1枚目で残ったつゆを次の割り子に移していただくのがツウ。笑
 1枚目が辛かったので2枚目はこれで十分でした。


 久しぶりの割り子蕎麦堪能しました。
 お支払のとき嫁の言葉使いで地元客じゃないと思われたみたいで、何か見て来てごしなったかね??
 と聞かれましたが、母のことを話すとそれは喜んでくださいました。
 はい、私も美味しいお蕎麦がいに喜びました。爆 岡本さんごちそうさまでした。


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 ■そば 岡本


 島根県松江市北堀町142-1


 tel.0852-22-1566


 営業時間.11:00~15:00
 駐車場3台


 381系(やくも) JR山陰本線 松江駅から車で10分
 271F 一畑電鉄 松江しんじ湖温泉駅から車で5分
 京阪バス 一畑バス へるん旧居方面行き「北堀」下車 徒歩3分
 阪神バス 市営バス 大学・川津方面行き「北堀」下車 徒歩3分
 織田信長 塩見縄手 武家屋敷・へるん旧居から徒歩15分