印環細胞癌の治療方針について | え!今度は膵臓癌!?〜印環細胞癌 (signet ring cell cartinoma)

え!今度は膵臓癌!?〜印環細胞癌 (signet ring cell cartinoma)

7年6カ月前に胃癌(印環細胞癌)を内視鏡手術で寛解後、今度はまさかの膵臓癌に罹患です。まさにこれから抗がん剤治療、膵頭十二指腸切除手術と成ります。

またまた、どこまで書けるかわかりませんが、出来る限りリアルタイムに
記録を残して行こうと思います。

11/10はH医大病院で主治医のS先生から、先日の内視鏡の生検結果を
元に治療方針の最終決定を伺うことになっていますが

実は、私の従兄弟に脳神経外科医がおり(北海道の日高と遠方ですが…)、気にかけてくれて
色々と医療関係者の繋がりを使って情報を集めてくれました。

以下は、従兄弟の懇意にしている消化器外科の先生からの
生コメント全文です。
(難しい医療用語が入っているので、ちょっと判りづらいですが…(; ̄O ̄))

夜勤明けの眠たい中で、これだけの長文を、スマホから打って頂いていたようで
本当に有難いです。

難しい事は分かりませんが、従兄弟の知り合いの先生も私の主治医とお知り合い
だったようでした。信頼して全てをお任せする決意が固まりました。




『昨日は救急当直で、手術終わってすぐ、仕事、救急車が同時に3台来て
骨折なのに、みんな一時的に外科で入院したり、夜中の2時までノンストップ診療でした。
N先生(私の従兄弟)のメッセージ、読みました。ご心配、お察しします。
私なりにじっくり考えてみましたが、眠たい頭なので、乱文ご容赦ください。

1)胃癌診療ガイドラインのHpにもありますが、現時点ではESDの適応拡大は、あくまでも臨床研究レベルです。未分化癌の場合、2cm以下、pT1a(粘膜層までの局在)、潰瘍なし、脈管侵襲陰性の症例に限ります。現在、国内で第II相臨床試験が進行中(JCOG0607)で、胃切除とのガチンコ比較は、現時点でも、今後の課題です。
しかし、上記の病変の情報はあくまでも、過去の胃切除標本の病理学的検索から得られた、後ろ向きの検討です。ですから、現在の検査機器で行う、超音波内視鏡、NBI内視鏡などで胃壁の胃癌深達度を調べても、かならずしも正確ではないので、まずは、total biopsyとしてESDを行うという手もありかもしれません。
古い日本語の論文ですが、S先生がH医科大に移られる前の、国○がんセンター時代に書いた日本語論文と手術の集積データが、この研究の基礎となっているのは、間違いありません。

2)術前診断として、CT、超音波内視鏡(領域リンパ節の腫大を確認可能)で周囲リンパ節の腫大の有無、肝転移、腹水の有無などから進行度を判定しています。
(これが一番正確ですが、顕微鏡レベルの転移はやはり、上記検査でも判断が難しいです)
施設によっては、ICG原液(肝機能検査で用いる薬液)を用いて、リンパ管造影を行い、
センチネルリンパ節生検(原発巣から一番近い転移しやすいリンパ節を採取、術中病理検査を行い、転移の有無により、リンパ節郭清度合いを決める)を行う場合がありますが、乳癌領域ほど
一般化や積極的に行われていません。
術前検査の方針にしたがい、手術されているのが、現状です。
腹腔鏡は現時点でも、退院が早い、傷が痛み少ないなどの利点以外は、なかなか有用性を見いだせませんが、開腹との非劣性として、国内では約50-60%の症例で行われています。
(2014年。2007年は20%。低侵襲性を利点として急速に普及しています)

3)印環細胞がんの場合、粘膜内癌のみの場合で、集合している極めて稀な場合を除き、周辺、深部に広がる傾向があります。一般的に、病変部から側方伸展(胃の横方向)の断端まで肉眼的に3-5cmあれば十分と考えられています。(ESDはもっと短い距離です)
術中迅速病理を用いて、切除標本の断端に癌細胞が確実に露出していないことを確認の上、吻合を行うのが良いと思います。
そのために、事前に外科に転科した後で、ステップバイオプシー(病変から1-2cmおきに正常胃粘膜面から生検して、不顕性の癌のひろがりを見ます)を行ったりします。
追加切除も含めて、一度の手術で解決できるようにするのがよいですよね。ただ、胃は取れば取るほど、術後の摂食を中心としたQOLの低下、体重減少が避けられません。
王 元監督が一番良い例です。説明になってますでしょうか。

追伸:S先生は国内の胃癌のトップランナーで、開腹手術の神様です。近年、腹腔鏡への造形も深くなっているようで、胃癌の世界では極めて重鎮のお一人で、下名もいつも勉強させていただいています。(医師3年目に見学に行ったことがあります)
また、リンパ節転移陽性が判明した場合、術後追加治療として、S-1(経口5FU抗癌剤)を1年間、内服します。また、近年、CDDPとS-1の併用で全生存期間も延長し、乳癌領域で頻用されるハーセプチン(抗HER2抗体)やサイラムザ(血管新生阻害剤)なども、再発治療に有効とされています。

ご参考になれば、幸いです。

本日、当直あけですが、当番ですので、昼頃まで回診業務です。
いくつか、術前説明、昨日の緊急入院の対応もあり、タイムリーにお電話返事出来ないと考え、朝からメッセージしました。長文、乱文、すみません。』