80点 小説「永遠の0」百田 尚樹著 おもしろいけどね(ネタばれあり!) | kazukazu721's interest

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主に映画、音楽、サーフィン、小説などなど。

現在、映画が絶賛公開中である「永遠の0」。
まだ、映画は拝見してないが、
小説は読んでいるのでレビューを書いておこうw

「永遠の0」がベストセラーになっているという事で、
ちょっと前に読んだ記憶があるが、
確かに面白い事は面白い。

話の内容は(データベースから引用)

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。
そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。
終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。
天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、
一つの謎が浮かんでくる―。
記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。

とあるが、読み始めてスグに思ったことは、
これは浅田次郎先生の「壬生義士伝」のパクリだw
という事だw

もちろん百田先生自身が「壬生義士伝」のオマージュだと
言っているからその構造自体はそっくり同じだし、
話の大枠の構造も全く一緒だw

優秀な人が時代の流れに翻弄され、
妻子を守る為に命を捨てていく。
その悲哀を描いているのだ。

先の「壬生義士伝」のレビューでも記載したが、
小説の出来では全然「壬生義士伝」の方が「上」である。

残念ながら「壬生義士伝」は時代劇を
題材にとっているので、なかなか読むのにハードルが高い。
特に冒頭の記述が典型的な時代劇風に入り、
その後、南部弁の独白になるので
(この展開こそが素晴らしいのだが)
ここで難しいと感じる人もいるだろう。

この「永遠の0」は簡単に言えば、
物語の大筋、構造は「壬生義士伝」とほぼ同じで、
更に平易な文体で読みやすく、
時代も零戦、特攻隊という題材に変更し、
万人が受け入れやすくした、という感じだ。

面白くないという事は決してない。
零戦のドッグファイトの描写や、
特攻隊の人たちに気持ち等、
著者も多くの書物を勉強したとあって、
臨場感もあり非常に興味深い。
零戦好きにはたまらないだろう。

しかしなぁ。確かに面白いのだが、
僕はこの小説の展開が嫌いだwwww

特に後半だ。

まず、「壬生義士伝」と違い、
本人の独白や心情描写がない。
これによって主人公がなぜ「死」ぬ
のかが迫真を持って迫ってこないのだ。

「壬生義士伝」は主人公の延々とした、独白がある。
この独白の往生際の悪さこそが、
本当は死にたくないのだ、
死にたくなくてしょうがないのに、
死ななければいけなかったのだ。
という事に納得がいくのである。

しかし、「永遠の0」にはここが欠落している。
それが、百田先生は狙いだったのだろうが、
僕は嫌いだw

更に肝心の後半にファンタジー要素を入れてしまった事が、

「おいおいおいおい、ここまで零戦や特攻隊の話書いて、
恋愛の場面でファンタジーの要素入れるか?」

ってちょっと頭に来るんだよなぁww
どうも逃げた感じがしてしまうし、
どうもこの安っぽい三流ドラマの様な展開が、
許せないのだw

また、百田先生は膨大な資料を読んでいて、
それを小説にまとめているが、
正直、元本よりかは劣る。

僕はこの「永遠の0」を読んだ後に、
この本の中に出てくる実在の人物

零戦の撃墜王 坂井三郎さんの書籍を
拝読させて頂いたが、
正直「永遠の0」が霞む程だwww

「永遠の0」はこういう本当の話の
寄せ集めに過ぎないという事が良くわかる。

また機会を代えて

坂井三郎さんの書籍「大空のサムライ」

のレビューも書かせて頂きたいと思うが、
このドキュメンタリーは本当に素晴らしい。
坂井三郎さんの文章は実際に零戦に乗って、
死地を切り抜けた者にしかわからない、
潔さが文章からにじみ出ている。

それに、文章が巧い。
本当にご本人が書かれているのか?って
思うぐらいの文章だ。

しかし、この文章はそこら当たりの、
小説家や文章書きが書けるものではない。
(だから「永遠の0」が霞むのだがw)

昔の日本人って本当にすげぇなと改めて、
自らの不甲斐なさを噛み締めるのだw


そう、はっきり言ってしまえば、
この「大空のサムライ」を
知る事が出来、読む機会を頂戴した、
という事の方が
「永遠の0」を読んだ最大の価値だw

決して「永遠の0」がおもしろくない訳ではないが、
やっぱりユリウス・カエサルの「ガリア戦記」ではないが、
実際に現場で見て来た本人が名文家なら、
それに敵う者はいないのである。

知らない人からすれば、原著に当たるのが面倒なので、
この「永遠の0」が丁度いい。
各名著のいいと取りをしているし、
読みやすいからだ。

しかし、本が好きなら是非、

坂井三郎さんの「大空のサムライ」を

読んで欲しい。

これは絶対に名著です!!!!!!