原発のストレステストとは? | 西陣に住んでます

原発のストレステストとは?

西陣に住んでます-Nuclear stress tests

REUTERS




また、菅首相が何の詳しい説明もしないで、

「ストレステスト」なるものを持ち出して
国の根幹を支えているエネルギー行政を大混乱させています。


最高に始末が悪いのは、原発のストレステストなるものが
いったいどんなものであるかを知っている人が
日本にどれだけいるかということです。
きっと、原発を抱える地方自治体でも

詳しくは理解してないのではと危惧します。


理由は、政府が全然説明していないからです。

私も少しインターネットで検索してみましたが、
日本語サイトでは、ほとんど説明されていません。

そこで、EUのウェブサイトを見たら、
[ストレステスト] のページがあり、ぼちぼち詳しく説明してありました。
中でもこの[Q&A集] が最もわかりやすかったので
意訳して紹介したいと思います。



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Nuclear stress tests

Brussels, 25 May 2011




Q:ストレステストとは何ですか?


ストレステスト(耐性検査)とは、福島の原発事故の見地から作成された一連の追加の安全規準(criteria)による原発の安全性評価です。EU規模で実施されるこのテストは、既に設定されている国レベルの安全基準(standard)に追加されることになります。そして原発の認可に用いられた安全性の余裕分(セーフティーマージン)が想定外の事象に対して十分かどうかを評価します。

ストレステストの目的は、日本で起こったことに学び、ヨーロッパで同様の事故が発生することを避けることにあります。最も重要な教訓の一つとして、2つの自然災害が同時に発生して完全に電力供給システムが不能に陥るという考えられない事態が起きたことを挙げることができます。日本では発電所は地震には耐えましたが、津波によって燃料棒の冷却に必要な電源供給が中断しました。この冷却がストップすると、土壌や水圏への放射性物質の漏洩を伴う炉心のメルトダウンのリスクが生じます。




Q:ストレステストによって何が評価されるのでしょうか?


原発が次のような事象に耐えることができるかどうかが評価されます。


1. 自然災害:
地震・洪水・極寒、酷暑、雪、氷、嵐、竜巻、大雨、他の究極の自然条件


2. 人為的過失や行動全般:
これらの事故としてあり得るのは、原発付近への航空機の衝突と爆発、発電所に向かうガスのコンテナや石油のタンカーの火事などです。テロ攻撃(航空機の衝突・爆発)による同様の損害効果も含まれます。


3. テロ予防:
攻撃を最初からさせないことを意味するテロ攻撃の予防策は、反テロリズムの専門家や国家防衛関連の省庁の公務員などの専門家を含めて別個に策定されます。なぜなら、これらの関心事は国家のセキュリティーの問題であるためです。ストレステストの結果が公表されるのに対して、テロ対策は公表できません。これらの問題について、委員会はEU加盟国と連携することになります。公にすることができる防護策の例として、航空機の原発接近時に霧を発生させるシステムがあります。霧でパイロットの視界を遮り、原発をターゲットにすることを不可能にします。




Q:電力供給が停止するとどうなるのでしょうか?


原因が自然災害であるかどうかに関わらず、電力供給が停止した場合に十分なバックアップ電源システムが発電所にあることを証明しなければなりません。また、数日間、完全に電力供給が停止した場合についても想定しなければなりません。そして一次バックアップシステムであるバッテリーが作動しなかった場合に何が起こるのかについて、また二次システムが作動しなかった場合やそれに伴う連鎖反応まで説明する必要があります。




Q:どのようにして自然災害を評価するのでしょうか?


地震については過去にすでにレビューされています:
EUのすべての原発は操業前に広範にわたる認可のプロセスを経ています。もしその原発が地震のリスクがある地域で操業しているならば、操業者は、発電所のスペックがその地域で想定されるマグニチュードの地震に耐えれることを証明する必要があります。地震のリスクを評価するためには、通常は過去の地震の履歴を考慮する必要があります。もしある地域でマグニチュード6の地震が発生したことがわかっている場合、同様の地震がまたいずれかの時期に発生することが仮定されます。そして、この地域に建設された発電所では、もしこのスケールの地震が発生してもそのまま操業できる、または自動的に停止するような設計条件のもとで建設される必要があります。このことは洪水や他の災害の場合についても同様です。


ストレステストにおいてはより高いセーフティーマージン(higher safety margin)が求められます:
福島事故の教訓として、地震のマグニチュードが過去にその地域で発生した地震よりもはるかに大きいこともあり得るので、ストレステストではより高いセーフティーマージンを求められます。もしある発電所がマグニチュード6の地震に耐えうるように建設されたのであれば、それよりも大きなマグニチュードの地震にも耐えられることを証明しなければなりません。このことは、実際上、所定のマグニチュードの地震まで、すべての安全機能が維持され、原子炉が安全に停止でき、電力の供給が確保され、放射性物質を閉じ込めることができることを意味します。このことは洪水や他の災害の場合についても同様です。




Q:「より高いセーフティーマージン」という用語に対するEUの定義はありますか?


定義はありません。現存する143の原発がすべてマグニチュード8の地震に耐えるスペックを持つ必要はないからです。地震のリスクのない、あるいは極めてリスクが低い地域に位置する発電所に対しては、必要のない負担を課すことになると思われます。このような理由のため、各国の規制機関が独自にこのセーフティーマージンを定義する必要があります。




Q:どのようにして航空機の衝突やテロリストの攻撃や爆発に対する安全性を評価するのですか?


発電所の建設方法が判明すれば、衝突によって放射性物質の封じ込めにシリアスなダメージを受けるかどうかを判定することが可能になります。技術者は安全性を計算する際に次のようなデータを考慮する必要があります。


・用いられている材料(コンクリート、鉄)
・壁の厚さ
・航空機のデータ(航空機の重量、航空機が発電所に接近する速度)


これらのデータがわかれば、発電所への影響(隔離機能にダメージを与えるか、火事を起こすか)を評価することができます。事象が事故であるのかテロリストによる故意の行為であるかについては結果に影響を及ぼしません。
爆発か火事かについても同じことが言えます。専門家は発電所の設計条件から、発電所の付近で起こる火事や爆発に発電所が耐えうるかどうかを判定することができます。それがガスコンテナや石油タンカーによる事故によって引き起こされたのか、テロリストによる爆弾の使用によって引き起こされたのかについては結果に影響を及ぼしません。




Q:どのようにしてテストを行うのですか?


テストは次の3つのレベルで行われます。


1. 事前評価:
発電所の操業者は、ストレステストの質問票にあるすべての内容に回答しなければなりません。また、異なるシチュエーションにおいて、どのように発電所が挙動するのかを説明しなければなりません。また、主張の根拠となる工学的な研究成果を提出する必要があります。


2. 国家報告書作成:
第二段階では、各国の規制機関が事前評価書を読んで仮説が信頼できるものであるかどうかチェックしなければなりません。国の規制機関は、その発電所の特別な設計を把握し、規制を行ってきたことから、チェックをするのに最適な立場と言えます。


3. 査察:
第三段階では、各国の規制機関が作成した国家報告書を、各国の原子力の安全性に責任を持つ27の独立した関係当局から構成されるヨーロッパ原子力安全規制機関グループ(ENSREG)に属する他の規制機関が査察します。査察は次の7人で構成される査察チームによって行われます。


・欧州委員会の代表者1名
・ENSREGの常任メンバー2名:彼らは原発を保有する14の加盟国の国家報告書を相互チェックするすべての査察チームに参加します。これによってテストの一貫性を保証します。
・ENSREGの非常任メンバー4名


各査察チームの構成員は欧州委員会とENSREGの両者によって決定されます。




Q:発電所内部の査察も行うのですか?


はい。査察チームは公然と発電所に立ち入ることを許可されます。加盟国は彼らが発電所に入るのを許可し、彼らのいかなる査察も援助しなければなりません。




Q:査察チームを構成する専門家の独立性は確保されていますか?


国の規制機関は、定義上、その国の政府や産業界とは独立しています。国の規制機関は、結果を公示して研究集会で議論も行います。このため、原子力分野の科学者、NGO、専門家はストレステストの結果を議論できることになります。




Q:国の規制機関は過去に彼らがチェックしたことを再チェックするのでしょうか?もしそうであるのならば信用できますか?


新規準:彼らは過去にチェックしたことについては再チェックしません。ストレステストは、自然災害、航空機の衝突、電力供給のバックアップシステムに対するより高いセーフティーマージンを含めた一連の新しい質問と規準から構成されています。


査察:査察のすべてのプロセスに対して信用性と説明責任を保証します。27の国の規制機関のうち原発を保有していているのは14機関のみで、13機関は原発を保有していないので信用できると考えます。


透明性:すべての国家報告書とその査察結果は公開されます。査察結果は、独立した専門家、NGO、原子力分野の専門家を招待したセミナーで議論されるべきと考えます。




Q:テストはいつ始まるのですか?


遅くとも6月1日です。




Q:いつ査察の最終結果が得られるのですか?


2012年の4月末です。




Q:いくつかの加盟国では、すでに国家レベルでストレステストを行っています。このことはそれらの国がEUのストレステストに参加しないことを意味するのではないでしょうか?


いくつかの加盟国はENSREGでの議論をベースにして早期にテストをスタートしています。EUで決定された追加項目がそれらの国でのテストでもとりいれられることを期待しています。




Q:すべての原発がテストされるのですか?


はい。同意を得た共通の規準と方法論に従って、EU内に存在するあるいは計画されているすべての発電所を再評価する必要があります。




Q:もし発電所がテストで不適と判定されたらどうなるのですか?


国家報告書と査察結果を基礎として、加盟国はどのようにして評価結果をフォローアップするのかを決断することになります。個々の設備の可否に関する意思決定は各国の責任として残ります。設備を改良することが技術的または経済的に不可能な場合、原子炉を停止して廃炉とする決定が下されることを信じたいと思います。




Q:もしある国が設備の欠陥が指摘されたにもかかわらず発電所を停止しない場合にはどうなりますか?


委員会は国家機関の報告書とともに査察結果を公表します。このことは、一般国民が結果を知ることになり、なぜそのような決定を下したのか、またはなぜ失敗したのかを当該国が国民に説明する必要が生じることを意味します。




Q:災害に国境がないことを考慮すると、EUの近隣諸国もこのテストを実行するのでしょうか?


委員会では、EU非加盟国(特に原子力を操業している近隣諸国であるスイス・ロシア・ウクライナ・アルメニア)に対してもこの評価方法を広げようとしていて、初期の段階では、ポジティヴな反応が得られています。ロシアは、国際的な原子力安全性の枠組みを改良するため、すでに具体的な提案を策定しています。

欧州委員会では、特定の国々で安全性の査察を行うとともにさらなる国際法の枠組みと行政能力を開発するために、IAEAや第三世界に対してテストのノウハウを提供する準備も整えています。第三世界に対して追加的に経済援助することも考えられます。




Q:報告書が作成された後、どうなるのでしょうか?


欧州理事会は、欧州委員会に既存のEU原子力安全体制を評価することを求めました。委員会の提案はストレステストの結果に十分に反映されることになります。既存の原子力安全法令(25/06/2009)は、IAEAによって作成されたいくつかの安全性原理に法的効力を与えるものです。加盟国の原子力の安全性を確保する上での法的権限となります。



時計時計時計時計時計時計時計




以上です。


このEUスタイルの検査をいかに日本に適用するのかが

ポイントになるかと思います。

今朝、民主党の岡田さんが現実的なコメントをされていたかと思います。


それにしてもつい2週刊前くらいまで私は日本憲政史上最悪の首相は

前首相だと思っていましたが、どうやらまちがっていたようです。

上には上がいますね(汗)