今冬の京都の積雪を予測する | 西陣に住んでます

今冬の京都の積雪を予測する

西陣に住んでます-千本釈迦堂



ここんところずっと

大晦日に京都に降った雪(積雪深9cm)の風景を特集していますが、

この記事では、この冬に京都市にどのくらい雪が降るのかを

ロジカルに予測してみたいと思います。


雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪


グローバルな地球の気象に影響を与える現象として知られているものに

エルニーニョラニーニャという現象があります。


下の地図のNINO.3という海域の海面水温が

通常よりも高い時がエルニーニョ、低い時がラニーニャとなります。

また、NINO.3の他にも

NINO.WESTIOBWという海域で海面水温が監視されています。


西陣に住んでます-南方振動監視海域


気象庁の定義によれば、

NINO.3海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値が
6か月以上続けて+0.5℃以上となった場合がエルニーニョ
6か月以上続けて-0.5℃以下となった場合がラニーニャです。


このエルニーニョとラニーニャが発生する時、

地球の各地で異常気象が発生しやすいと言われています。


そして、現在地球上では、ラニーニャが発生していると考えられています。

(5か月移動平均値が6か月以上続かないとラニーニャと認定されないため

 正式にはまだ認められてませんが、発生しているのは自明です。)


ここで、エルニーニョとラニーニャと京都の積雪深の関係を見てみると

↓このグラフのようになります。

西陣に住んでます-京都市の積雪深の変動


確かに特に1995年以降では、ラニーニャの発生している期間は

京都市の積雪深が大きいことがわかります。


そこで、上の地図のIOBWNINO.WESTNINO.3の3つの海域の水温と

京都市の気温や積雪深との相関性を気象庁のデータを基に検討したところ、

IOBW、つまりインド洋熱帯域の海水温との相関性が最も大きいことが

判明しました。


日本の気象が偏西風の影響を強く受けることを考えれば、

妥当な結果と言えるかと思います。


ここで、 インド洋の海面水温の偏差(基準値との差)と京都市の気温を

一つのグラフにプロットしてみると、↓このグラフのようになります。

西陣に住んでます-インド洋水温と京都市気温


この図をよ~く見てみると、インド洋の海面水温の変化に少し遅れて

京都市の気温が変化しているのがわかります。

インド洋の海面水温のピークと京都市の気温のピークが

良く対応していることが、このグラフからわかります。

西陣に住んでます-インド洋水温と京都市気温


このことから、インド洋の海面水温(移動平均値)を予測できれば、

京都の気温や積雪深をある程度予想できることがわかります。


ここで、ネットに落ちている(笑)フリーソフトウェアのRを使って

インド洋の海面水温の

2011年1月の5ヶ月移動平均(2010年11月~2011年3月)を

予測してみたいと思います。


予測に用いる統計モデルは、株価の予測などによく用いられている

ARモデル(自己回帰モデル)という時系列解析モデルです。


結果は次の通りです。


西陣に住んでます-インド洋水温の変動予測


インド洋の海面水温の2011年1月の5ヶ月移動平均の予測値は

-0.03℃となりました。

この値を使って、京都市の積雪深を予測します。


下のグラフは、1981年以来のインド洋の海面水温と

京都市の積雪深の関係を示したものです。

インド洋海面水温が低いと京都市の積雪深が大きいことがわかります。

また、赤点線は2011年の予測値の-0.03℃をプロットしたものです。

西陣に住んでます-インド洋水温と京都市積雪深


この赤点線を参考にすると、

今年の京都市の積雪深は10cm前後ということになります。


ここで、もう少し詳しく検討するために

2000年以来のインド洋水温と京都市積雪深の関係を示したグラフを

見てみます。

西陣に住んでます-インド洋水温と京都市積雪深


予測値に近い過去の3データに着目すると、

積雪深が6cm~12cmくらいであることがわかります。


希望的観測で今年は最終的に12cmの積雪深になると仮定すれば、

京都では、大晦日にすでに9cm降っているので、

あと3cm降るってことになります。


つまり、結論としては、

この後は軽~く積もる雪が1回あるかないかということになります。


雪雪雪雪雪雪雪雪雪雪


もちろん以上のディスカッションは、過去のデータを基に推論したもので

ときには異常なことも起こります。

実際、2つ前のグラフにあるように、

同じような状況で50cm近く降っている年もあります。


というわけで、

あまり期待しないで雪を待つというのがよいのかもしれません(笑)。


ちなみに来年は、インド洋の水温がもう少し低くなると予測されます。

つまり、今年以上のチャンスです。


西陣に住んでます-千本釈迦堂