新刊 禅僧とめぐる京の名庭 | 西陣に住んでます

新刊 禅僧とめぐる京の名庭


西陣に住んでます-禅僧とめぐる京の名庭


禅寺の庭といえば、ある意味京都の代名詞にもなっていますが、
その庭のもつ素晴らしさを目いっぱい味わうためには
庭に関する最低限の知識が絶対必要だと思います。

ただ、残念なことに
そのような知識をわかりやすくしっかりと書いてくれてる本には
なかなか出逢えません・・・


ところで、
禅寺が、禅宗曹洞宗臨済宗など)のお寺であることについては、
ご存知の方も多いと思います。


ここで禅宗というのは、
基本的に念仏を唱えるのではなく、
主として大自然を前にした座禅修行を通して、
無の境地を開いたり、真理を導くことをめざす宗派です。


したがって、修行にあたっては大自然が必要となるのですが、
残念ながら大都会だった京都にはそのような大自然はありませんでした。


そこで、その大自然の代用品として、
大自然を簡潔に表現した禅の庭が造られ、
その前で座禅修業が行われたわけです。


ということは、その簡素化にあたっては、
当然意味がある簡素化が行われたわけで、
そういった内容について、実際の名庭をとりあげて、
はぐらかすことなく(笑)具体的に書いてくれているのが、
ここで紹介する「禅僧とめぐる京の名庭」です。


もっと具体的にいえば、
大徳寺、龍安寺、妙心寺、南禅寺、円光寺、天龍寺、地蔵院、西芳寺、
金閣寺、銀閣寺、鹿王院、高台寺、円通寺、小伝寺、詩仙堂

の各寺にある名庭の作庭意図を、禅問答みたいな話ではなしに(笑)
図面を使ってわかりやすく解説してくれています。


この本の著者は、
日本庭園デザイナーで曹洞宗のお寺の住職で
多摩美術大学環境デザイン学科教授でもある
枡野俊明(ますのしゅんみょう)氏という方です。

つまり、庭のコンセプトとデザインの実践を伴われた
この分野のエキスパートといえるかと思います。


目からウロコの名著であると同時に、
京都の庭を見る最高のガイドブックだと思います。