一瞬で読める源氏物語No.50 東屋 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.50 東屋

源氏物語


No.50 東屋(あずまや)  薫26歳秋の物語


は、裕福な常陸介(ひたちのすけ)の妻で浮舟の母である中将の君(ちゅうじょうのきみ)に浮舟との結婚を申し込みますが、身分の違いから信じてもらえません。中将の君は、熱心に浮舟に求婚してくる左近少将(さこんのしょうしょう)を結婚相手に選びますが、この左近少将は常陸介の財産目当ての男で、浮舟が左近少将の実子でないと知るや、実子の次女と結婚してしまいます。中将の君は、ショックの浮舟を気分転換のため二条院の中君にあずけます。ところが、二条院では匂宮に見つかり危うく契りを交わされそうになりました。なんとか三条の隠れ家に移動した浮舟のもとに顔見知りのとともに薫が現われます。薫は今度ばかりは早業で浮舟と契りを交わすと、宇治に建てた御堂に浮舟を連れて行き隠します。ただ、こんなときも薫の頭の中にあるのは大君のことばかりでした。



補足:現代には、お金目当ての結婚詐欺師って結構いるようですけど、案外これって伝統的なスタイルなのかもしれませんね(笑)。ところで、常陸介が裕福だったのは地方でボロ儲けしていたからです(笑)。常陸介は常陸の国の受領という役職についていましたが、この受領というのは地方で税金の額を決めて民から徴収し、そのうち一定額を中央政府に収めるという役職です。つまり税金を高く設定すればするほど、受領は儲けることができるシステムなんです。この凄すぎる地方分権制度によって、受領は一般に巨額の富を得ていたと言われてます。そしてこのような社会問題をさりげなく物語に入れるところが源氏物語の気の利いたところですね。さてさてさて、意思決定の遅さと民主性から、恋愛が思うようにいかなかった薫が、ついにそのスタンスを捨てて浮舟を手に入れました(笑)。


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