一瞬で読める源氏物語No.42 匂宮
No.42 匂宮（におうのみや） 薫14歳-20歳の物語
光源氏亡き後、完璧なイケメンが不在の貴族の世界で、一番人気なのは薫と匂宮の二人です。まじめでちょいクラな青年に成長した薫は、よい匂いを体から自然に放出する天然フェロモン体質です。本当の父は光源氏でなく柏木であることにはまだ気づいていませんが、自分の出生になんとなく疑問を持っています。また出家をめざしてるため女性には眼もくれません。一方、今上帝と明石中宮の子で二条院に住む匂宮は見事なプレイボーイに成長しました。薫に対抗するため衣服には香りをつけまくってます。さて、右大臣になった夕霧は、三条殿に住む雲居雁と六条院夏の町に住む落葉宮を一日おきに平等に訪れて平和に暮らしてます。すでに皇太子と二宮（にのみや）に長女と次女をそれぞれ嫁がせた夕霧は、今度は六君（ろくのきみ）を薫か匂宮に嫁がせようとたくらんでます。その他、明石の君ファミリーは六条院春と冬の町、花散里は二条東院、女三宮は三条宮邸でそれぞれ暮らしてます。
補足：恋の物語の宇治十帖の前には、この帖を含むイントロダクション的な三帖があり、光源氏亡き後の源氏ファミリーの様子が「あの人は今？」的に紹介されています。この帖では、まず宇治十帖の主役の二人、薫と匂宮にフォーカスがあてられています。血は争えないというか、光源氏の子ではない薫が恋愛沙汰にはあまり興味を示さないのに対し、光源氏の孫の匂宮は恋愛が好きで好きでしょうがありません（笑）。完璧な隔世遺伝なんでしょう。男の子は母方の祖父に似るっていいますし・・・。このフェロモン対決の今後が楽しみです。一方、夕霧は相変わらずのマメ男ぶりを発揮しています。雲居雁と落葉宮のところへそれぞれ月15日通うという正確なヘビロテは、死ぬまで続くのでしょう（笑）。また、夕霧は早業で皇室に二人の娘を嫁がせています。つまり次に生まれてくる子供たちの母方の祖父は夕霧ということになります。隔世遺伝のことを考えれば、その後の日本は堅実な社会を形成していったのでしょう（笑）。源氏ファミリーは光源氏亡き後もちゃっかりとゆるぎない繁栄を続けています。